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携帯電話「頭金」の正体 歪んだ仕組みが生まれたワケ(3/3 ページ)

2020年11月に総務省と消費者庁が注意喚起を出した、携帯電話の「頭金」。一般的な頭金とは何が違い、なぜこのような仕組みが生まれたのか。元ケータイショップ店員が解説。

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販売店は倒れるしかないのか 総務省の介入への期待と不安

 携帯電話の“頭金”に関しての注意喚起以外にも、総務省は10月27日付で「モバイル市場の公正な競争環境の整備に向けたアクション・プラン」を発表。12月9日には、総務省と消費者庁、公正取引委員会からなる合同チームを発足し、携帯料金の囲い込み施策や販売時の広告表示について検討していく構えだ。

 最近の動きにもあるように、政府はここ数年の間に携帯電話市場に関する法改正などを行ってきた。その多くは「通信料の値下げ」「過度なユーザーの囲い込みの抑止」「自由な競争環境の実現に向けた手数料・解約金の見直し」などを携帯キャリアに求める内容になっている。

 歪んだ“頭金”の仕組みも、キャリアや販売店が適正な競争を行い、ユーザーが損をしない仕組みを作っていくに当たっては見直されるべき部分だろう。

 しかし、ここまで解説したように、実際の販売窓口である代理店が市場の多くを担っている状況が改善されないことには見直しも難しい。

 ドコモの新料金プラン「ahamo」(アハモ)などの分かりやすい料金体系や、ユーザーが自分自身に合ったサービスを選べる仕組み作りは徐々に整いつつあるが、「市場の適正化」にはまだまだメスを入れるべき部分は多い。

 政府による一連の要請や介入で良い方向に変わっていくことを期待しているが、「国民の負担軽減」ありきでいびつな“頭金”などの廃止だけを先行してしまうと、販売店は倒れるしかない。その結果として街中から販売店が消えてしまうような、別のいびつさを持つ市場になりはしないかと不安もある。

 少なくとも、市場の現実と向き合った見直しを図ることが、適正な競争を行える市場形成のカギだと筆者は考える。

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