筑波大の授業DBがメンテ、困った新入生が代替ツールを“爆速開発” その背景を本人に聞いた(2/2 ページ)
メンテナンスに入った大学公式サービスの代替ツールを3時間半で開発したという筑波大学の1年生が注目を集めている。本人に話を聞いてみた。
横浜サイエンスフロンティア高校出身の現役プログラマー
実はいなにわうどんさん、現役高校生プログラマーとして一部のかいわいでは知られた存在だった。横浜サイエンスフロンティア高校在学中の2019年には、Twitterのヘビーユーザー、いわゆるツイッター廃人(ツイ廃)向けの専用ツール「ダツイハイ」を開発。指定期間内に一言でもツイートするとフォロー中のアカウントを強制的に全解除するサービスで、ツイ廃で勉強時間を確保できていなかった自身の戒めのために開発した。
そんないなにわうどんさんがプログラミングに興味を持ったのは小学校4年生の頃。「ホームページを作ってみたい」と思ったのがきっかけで、技術習得に努めた。20年度には高校生ながらIPA(情報処理推進機構)のIT人材発掘事業「未踏」の一つに採択され、公的支援を受けながら文書制作のための組版処理システムの開発に従事した。
落合陽一准教授らに憧れ入学 ソフトウェア開発のサークル立ち上げも
4月から筑波大情報学群に入学したいなにわうどんさん。学びたい学問領域と合致したことはもちろん、筑波大出身の落合陽一准教授や「シン・テレワークシステム」の開発で知られる登大遊さんに憧れた。小学生の頃から筑波大のVPNサービスを利用していたことも志望した理由の一つだ。
「(筑波大は)非常にユニークで天才的な能力を持たれた方々を多く輩出されていることでも有名です。是非そうした環境に身を置き、研究に励みたいと考えましたし、情報メディア創成学類は情報分野の中でも高レイヤー寄りな内容を中心としているため、Webや組版といった領域に興味のある自分にとっては、まさに理想の学類であると判断しました」(いなにわうどんさん)
KdB(もどき)の開発で、1年生ながら在学生から注目される存在になった、いなにわうどんさん。今回の活動がきっかけで知り合った制作メンバーとともにソフトウェア開発のサークルを立ち上げることが決まったという。
いなにわうどんさんは「入学してまだ間もないですが、筑波大学には学生が熱意を持ってさまざまな物事に挑戦していく土壌があることを強く実感しており、折に触れて感銘を受けています。今後、教員の先生方からご指導を賜りつつ、友人らと切磋琢磨を重ねながら、学業や研究活動、システム開発などに一層まい進していきたいです」としている。
関連記事
- 「シン・テレワークシステム」 NTT東とIPAが緊急開発 無料・登録不要のVPN 筑波大や角川など協力
NTT東日本と情報処理推進機構(IPA)は、契約やユーザー登録不要で利用できるシンクライアント型VPN「シン・テレワークシステム」の無償提供を始めた。政府の緊急事態宣言や在宅勤務への社会的要請を受け、筑波大学やKADOKAWA Connected、ソフトイーサなどの通信の専門家と連携して開発したという。 - 廃液からの金回収を効率よく 筑波大、藻を活用したリサイクル技術開発
王水ベースの金属廃液から、金やパラジウムを吸着する藻を見出し、貴金属のリサイクルに生かそうとする研究成果を筑波大学が発表した。 - 世界最大の「mstdn.jp」を立ち上げた大学院生“ぬるかるさん”は一体何者か その素顔とドワンゴ入社が決まるまでの10日間に迫る
ネット上で急速に注目を集める新SNS「Mastodon」(マストドン)。日本で注目を集める要因となった“ファーストインパクト”は、ある大学院生が自宅のサーバに立ち上げた日本向けインスタンスだった。彼の人生は約10日間で劇的に変わった。 - 総務大臣奨励賞に「シン・テレワークシステム」の登大遊さんら サイバーセキュリティ分野の功績を表彰
総務省はサイバーセキュリティ分野での功績を表彰する「総務大臣奨励賞」の受賞者に「シン・テレワークシステム」の開発で知られる情報処理推進機構(IPA)の登大遊サイバー技術研究室長を含む2人と1団体を選出したと発表した。 - 「けしからん発想」が創造性を生む 天才プログラマー・登大遊氏が語る「シン・テレワークシステム」開発秘話
「SoftEther」の生みの親で“天才”と称される登大遊氏が、「CEATEC 2020 ONLINE」の講演に登壇。同氏が手掛けたシンクライアントVPN「シン・テレワークシステム」の開発秘話などを紹介した。こうしたサービスを次々に生み出せる背景には、若手時代に培った創造性があるという。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.