AIが候補者を抽出、異動先を提案 NEC子会社が自治体向けに開発
NECソリューションイノベータが自治体向けにAIを活用した人事異動事務を効率化するサービスの提供を始めた。ベテラン職員の過去の異動履歴などをAIが分析し、候補者の選出や最適な配属先を提案する。
官公庁向けにソフトウェア開発などを手掛けるNECソリューションイノベータ(東京都江東区)は4月21日、自治体向けにAIを活用した人事異動事務を効率化するサービスの提供を始めた。ベテラン職員の過去の異動履歴などをAIが分析し、候補者の選出や最適な配属先を提案する。
同社が開発した「NEC 人事異動AI支援ソリューション」は、過去の異動データから作成した予測モデルでAIが各職員の異動確率をスコア化し、候補者を抽出。職種や年齢、資格などの情報から異動候補者と新たな配属先の組み合わせをシミュレーションできる。
シミュレーションで作成した異動原案の中から異動条件に合致しない職員の配属先を変更してシミュレーションを繰り返すことで、原案の精度を高められる。人事担当者の作業負担の軽減にもつながるという。
同社のサービスを使った実証実験では、異動候補者の選出や配属先の検討に要する作業時間をそれぞれ48時間から36時間(25%減)、72時間から60時間(17%減)に削減できた他、異動案のチェックでは300時間から24時間と92%も作業時間を削減できたという。
自治体の人事異動業務はさまざまな制約条件や全体最適化を考慮して配属先を選定する必要があることから、作業に時間がかかるだけでなく、経験やノウハウが必要とされる。
サービスの提供価格は100万円(税別)。自治体規模で価格は変動する。NECソリューションイノベータは今後2年間で20団体への導入を目指す。
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