理研と東大、マウスの脳の全細胞を解析するクラウドサービスを開発
理化学研究所と東京大学大学院の研究チームが、マウスの脳の全細胞を解析を可能にするクラウドサービス「CUBIC-Cloud」を開発した。脳全体の遺伝子の働きやネットワーク構造などの3次元データの保管や解析ができるため、データマイニングによる神経科学分野の発展が期待できるという。
理化学研究所と東京大学大学院の研究チームは6月22日、マウスの脳の全細胞を解析できるクラウドサービス「CUBIC-Cloud」を開発したと発表した。脳全体の遺伝子の働きやネットワーク構造などの3次元データを保管でき、後から解析できるため、データマイニングなどの分析手法を使った研究が将来的に可能になるとしている。
1細胞レベルで脳を顕微鏡撮影できる「CUBIC」技術を使い、特定の細胞を染めた脳画像を作成。これをパブリッククラウドベースのCUBIC-Cloudにアップロードすると、他の細胞を染めた脳画像と自動で位置合わせが行われる。ここから3Dモデル化したものを閲覧したり、任意の断面図を観察したりといった解析が可能になるという。計算はクラウド側で実行するため、強力な計算機環境を持たない研究者でも利用可能で、解析結果は世界中の研究者に共有・公開することもできるという。
研究チームでは、CUBIC-Cloudの性能を実証するために60個体以上のマウスの全脳を解析した。その結果、さまざまな種類の神経細胞が脳のどこにあるかの情報や、認知症モデルマウスの原因物質の定量解析、実験的に脳内炎症を起こした際の脳神経細胞の活動の変化などを捉えることに成功したという。
現在、CUBIC-CloudのWebページからユーザー登録を受け付けている。
この研究成果はオランダの出版社の科学雑誌「Cell Reports Methods」に日本時間の6月22日付で掲載された。
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