4Kカメラ100台で能楽「葵上」を3D化、後から好きなカメラ位置に再編集 キヤノンと日本IBMが協業
日本IBMとキヤノンは7月2日、100台超の4Kカメラで360度全方位を撮影した映像を3秒で3Dデータ化する技術を芸術や芸能分野に向けて広めていくために協業を始めた。第1弾として能楽の映像を公開。
能楽「葵上」(あおいのうえ)の舞台を縦横無尽に駆ける映像。一部がCGらしいことは分かるものの、舞台の上に立つ演者はリアルそのもの。キヤノンが7月2日、こんな映像作品を公開した。100台超の4Kカメラで演者を撮影し、ほぼリアルタイムに3Dへ再構成する「ボリュメトリックビデオ」技術を活用したという。
四方をグリーンバックで囲んだ専用スタジオ「ボリュメトリックビデオスタジオ‐川崎」で撮影。死角がなくなるよう配置した100台超のカメラで同時に演技を撮影し、日本アイ・ビー・エムの並列計算用サーバ「IBM Power System AC922」と広帯域ストレージ「IBM Elastic Storage System」に転送・解析。撮影から約3秒で3Dに再構成した動画データを出力できるという。
単に100台のカメラから1台を指定してアングルを選べるのではなく、バーチャル空間内の仮想カメラで好きな画角と位置を指定して映像を編集できる。葵上では、実在する能楽堂をスキャンし作った3Dデータと演者データを合成して最終的な映像を作ったという。
2社は、同技術の芸術・芸能分野への展開を目指して協業すると2日に発表した。葵上の映像公開はその第1弾。同技術自体は、20年7月にスタジオの稼働を始めてから、音楽番組やテレビCMなどで使われた実績があるという。ほぼリアルタイムにボリュメトリックビデオを作れるため、音楽などのライブ配信へのニーズも見込んでいる。
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