日本初のフリマアプリ「FRIL」創業者、今度は「家計簿アプリ」で起業 「日本一になれなかった悔しさ」ばねに(2/3 ページ)
日本発のフリマアプリ「FRIL」の創業者が、楽天を退社し、新たに「家計簿アプリ」で起業した。1月の「B/43」リリース後、初めての記者説明会で、事業概要と、再度起業した狙いを語った。
日本初のフリマアプリ創業者が再出発に挑むワケ
2012年に堀井社長が創業したフリルは2016年に楽天に買収され、その後、同社の「ラクマ」と統合された。堀井社長も18年まで楽天に在籍したが、再度起業するため、退職した。
起業を決断したのは、今やフリマアプリの代表格となったメルカリに先んじてフリマ市場に参入しながらも日本一になれなかった悔しさだけでなく、フリマアプリを取り巻く事業環境が変化していたことも理由だ。
退社後に自身が手掛けたフリマアプリの現状を見つめ直した結果、「フリマアプリの本質は『モノをお金に変換する』というフィンテックだという結論に至った」という堀井社長。例えば、競合のPayPayフリマはPayPayに、メルカリはメルペイにそれぞれ売上金をチャージする形で、決済手段として普及。日本でキャッシュレス決済が普及している一因になっている。そんな時、堀井社長に「キャッシュレス決済が普及しきった社会はどんなものだろうか」という疑問が浮かんだ。
そこで、日本と同じ島国である英国に注目。人口規模やGDPなどが近く、12年のロンドン五輪を契機に、政府主導でクレジットカードやApple Payなどによるキャッシュレス決済が急速に普及していたからだ。渡英し、約1カ月間、現地調査を重ねたところ、英国では、バスや電車などの公共交通機関はもちろん、スーパーや屋台、路上パフォーマーへのチップ、ホームレス支援など慈善事業に至るまで、あらゆるものがキャッシュレス決済できたという。つまり、カードかスマートフォンさえあれば、生活にほぼ困らない社会だったというわけだ。
現地調査では意外なニーズも判明した。英国ではキャッシュレス化の進展とともに、デジタルネイティブ世代を中心に家計簿アプリのニーズが上がっていたのだ。生活費のキャッシュレス決済に給与直結の口座をひも付けてしまうと、無駄遣いしてしまう恐れもある。そのため、支出項目に応じて予算を立て、計画的に使いたいニーズがあったという。英国では、HSBCなどのメガバンクが提供するアプリのUIがよくないこともあり、新興企業による生活費管理アプリがシェアを伸ばしていた。
日本では現金を封筒に入れるなどアナログな方式で支出を管理する層が一定数存在する。しかし「キャッシュレス化が進み、貨幣の流通が減ると、従来のような形で管理するのは難しくなるのではないか」。そう考えた堀井社長は日本で家計簿アプリの事業を立ち上げることを決めた。
関連記事
- 日本初のフリマアプリ「FRIL」を楽天が買収 「ラクマ」と相互送客
楽天がフリマアプリ「FRIL」を買収。楽天の「ラクマ」と相互送客するなどし、CtoC事業を強化する。 - ラクマ、セブン-イレブンとPUDOから商品発送可能に 4月26日から
楽天グループは4月20日、全国のセブン-イレブンと宅配便ロッカー「PUDOステーション」でフリマアプリ「ラクマ」の商品を発送できるようにすると発表した。4月26日午後2時から利用できる。 - フリマアプリ「ラクマ」、販売手数料を値上げ 3.5%→6%に
楽天が、フリマアプリ「ラクマ」の販売手数料を2021年1月13日に変更する。これまでは商品価格の3.5%だったが、これを6%に引き上げる。 - 「これ偽物です」 楽天、「ラクマ」の出品に著作権侵害などを簡単に申告できる専用フォームを開設
楽天のフリマアプリ「ラクマ」に出品された偽造品に対し、権利者が申告するための専用フォームを楽天が開設した。これまでのメール申請から手続きを簡単にすることで、不正な出品の取り締まりを強化したい考え。 - 引っ越しで発生した不用品を回収、「ラクマ」に代理出品 楽天など3社が共同で開始
楽天が、引っ越しの際に発生した不用品を回収し、フリマアプリ「ラクマ」に代理出品するサービス「フリマ引越」を開始。GLIDEとカラエトも協力する。ユーザーが粗大ごみを廃棄するコストを抑えつつ、資源の無駄を減らす狙い。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.