“顔写真の体温”は35.5度? 検温カメラの誤検知が話題に 仕様上あり得る?
カメラを活用して非接触で人の体温を測定する検温システムが、ポスターの顔写真を認識して検温した画像が話題になった。この現象は実際に起こり得るのか。
コロナ禍で見かけることが増えた、カメラを活用して非接触で人の体温を測定する検温システム。体温を表示する画面に映ったお笑いコンビ「霜降り明星」の2人は35.5度・35.6度と表示されているが、よく見るとポスターの顔写真だった──こんな写真が7月10日にTwitterに投稿され話題になった。「(人間かどうか判断できないのに)信用できるのか」という反応も。この現象は実際に起こり得るのか。
こういった検温システムの多くは、AIを活用した顔認証で顔そのものの場所を検出。額の位置などを特定し、その部分の体表温度を測定した後、室温などと比較して、体温を推定する仕組みだ。確かに顔写真を使えば、AIをだませる可能性があるかもしれない。
同様の検温システムの開発を手掛けるアイリスオーヤマによれば「鼻の位置や輪郭などを基にAIで顔を検出する場合は、顔写真であっても本物の顔と認識し、表面温度を測定する可能性がある」という。つまり、顔のパーツがあるかどうかを基準に「人の顔」と認識するため、写真なのか本物の人間なのかまで判断していないということだ。
こういった仕様は、検温を行うとき、邪魔にならないのか。アイリスオーヤマによれば「仕様上は正常。そもそもポスターなどは顔認識に影響しない場所に貼ってあることを前提としている。導入した事業者には検温システムが誤検知しにくい設置場所を教えることで対策しており、もし異常な体温を計測した場合は従業員に通知が行く仕様になっている」という。
検温システムがポスターを誤検知してしまった場合は、どのように対応すればいいのか。アイリスオーヤマは「カメラをポスターが映り込まない位置に移動させるか、ポスターを認識しないよう、検温する人と製品との距離を調整してほしい」とした。
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