LyftとUber、テキサス州の中絶禁止法からドライバーを守ると声明
米配車サービス大手のLyftとUberは、米テキサス州が施行した新中絶法から自社のドライバーを守ると発表した。この新法では、中絶目的の女性を病院に送るだけでも訴えられ、最高1万ドルの罰金を科される可能性がある。
米配車サービス大手のLyftは9月3日(現地時間)、米テキサス州が1日、人工妊娠中絶を禁止する州法を施行したことを受け、この法律に基づいてドライバーが訴えられた場合、弁護士費用を100%支払うと発表した。競合する米Uber Technologiesのダラ・コスロシャヒCEOはこの発表を受け、これに追随するとツイートした。
テキサス州の新法(リンク先はPDF)は、胎児の心拍が確認される妊娠約6週間以降の人工妊娠中絶を禁止するというもの。受胎後6週間では妊娠を自覚するのは難しく、実際にはすべての中絶を禁止するようなものだ。レイプなどによる望まない妊娠であっても例外にはならない。
この新法では、中絶を行う病院、中絶費用を支援する人、中絶のために病院への送迎を行う人など、中絶を支援した人を訴える権利を民間人に与える。訴えられた場合、1万ドル(約110万円)の罰金が科せられる可能性がある。
Lyftの共同創業者、ローガン・グリーンCEOとジョン・ジマー社長は公式ブログで、「テキサス州の新法は人々を目的地に連れて行くドライバーを罰すると脅かしている」「女性の選択権に対する攻撃だ」とし、法律を恐れてドライバーがライダーをキャンセルするようなことは絶対に受け入れられないと語った。
これを回避するために、Lyftはこの新法に基づいて訴えられたドライバーの弁護士費用の100%をカバーするために、「ドライバー法務防衛基金」を設立する。また、個人の権利に基づいた人工中絶を支持する非営利団体Planned Parenthoodに100万ドル(約1億1000万円)寄付する。
米国では1973年に連邦最高裁が中絶の権利を認める判断を示しているが、連邦最高裁は1日、テキサス州の中絶法を差し止めないとする判断を5対4で下した。
最高裁のリベラル派の判事、ルース・ベイダー・ギンズバーグ氏が昨年逝去し、当時のトランプ米大統領がその後任に保守派のエイミー・バレット氏を指名したため、最高裁判事は保守派優勢になっている。
ジョー・バイデン米大統領は2日、最高裁のこの判断は「女性の憲法上の権利に対する前例のない暴行」と批判し、この決定に対抗するための連邦政府としての取り組みを開始すると語った。
本稿執筆現在、Google、Apple、Facebook、Amazon、MicrosoftなどのIT大手からはこの法律について特にコメントは出ていない。Facebookのシェリル・サンドバーグCOO(最高執行責任者)は2日、自身のFacebookアカウントで「テキサスの6週間中絶禁止法は女性を、家族を傷つけ、安全な中絶を失うことになる」と投稿した。
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