「全てをユーザー自身に組み合わせてもらう形に」──KDDIがオンライン専用ブランド「povo」を基本料0円にしたワケ
KDDIが発表したオンライン契約専用プラン「povo2.0」。月額基本料金を0円にし、通話料金やデータ容量を自由に組み合わせるプランに刷新した。料金体系を大きく変えた背景について、KDDI子会社の秋山敏郎社長は「全てをトッピングにしてユーザー自身に組み合わせてもらう形にした」と狙いを話した。
KDDIが9月13日に発表したオンライン契約専用プラン「povo2.0」。従来のpovoは20GBで月額2728円の1プランをベースにしたシステムだったが、月額基本料金を0円に変更。通話料金やデータ容量を自由に組み合わせるプランに刷新した。料金体系を大きく変えた背景について、povoを手掛けるKDDI Digital Lifeの秋山敏郎社長は「全てをトッピングにしてユーザー自身に組み合わせてもらう形にした」と狙いを話した。
もともとのpovoは廉価ながらも大容量通信が可能という、総務省主導の携帯料金値下げの方針にも一致するプランだった。他のキャリアも同様の廉価プランを提供する中、povoが少し異なっていたのは、通話し放題などのオプションを、ベースプランに対する「トッピング」として打ち出していたことだった。
しかし秋山社長は「(ユーザー自らが選び取る)トッピングというコンセプトを、どのようにして次の段階へ進めるか」に課題を感じていたという。
「ワンプランを辞めて複数のプランをつくると、ユーザーがどのプランを選ぶべきか悩むかもしれない。ベースプランを従量課金制にすることも考えたが、ユーザーの知らないところで値上げが発生し、コントロールできなくなるリスクもある。そもそも、月額プランだけでいいのか。ユーザーのライフスタイルは月ではなく、週や日によって違う場合もある」(秋山社長)
そこで、利用期間と通信容量の異なるデータ料金のトッピングを6つ用意。柔軟に通信容量を変えたい需要を汲み取り、月額制も廃止した。通話し放題については月額制ながら2種類のトッピングを用意。動画配信サービスの「DAZN」や「smash.」のデータ通信容量が短期間使い放題になるプランも用意する。
povo2.0の想定顧客は従来通りデジタルネイティブ世代。「ギガ活」という、au PAYの特定店舗での利用やシェアバイクの利用など、街中でギガがもらえるキャンペーンも実施し、通信容量の残りなどに敏感なユーザーにリーチしたい考えだ。KDDIの中馬和彦部長(ビジネスインキュベーション推進部)は「コンビニや飲食店で買い物をするだけでギガをもらえる生活を多くの人に楽しんでほしい」とした。
関連記事
- KDDI、基本料0円の「povo2.0」 データプランを都度選択する方式
KDDIが、月額基本料0円から使える新料金プラン「povo2.0」を9月下旬から提供する。「7日間で1GB」など、利用期間や容量を変えた6種類のデータプランを用意。提供は9月下旬予定。 - 「povo」5G対応、9月14日から 料金据え置き・追加手続き不要
スマホ向け格安プラン「povo」で9月14日に5Gサービスの提供スタート。料金は据え置きで、既存ユーザーは追加手続きやSIMカード交換の必要なく利用できる。 - IIJ、国内通話料金を半額に アプリ通話と同額に値下げ
IIJが、個人向けのMVNOサービス「IIJmio」で、専用アプリなどを使わない国内通話の料金を値下げする。これまでは30秒22円だったが、11日から11円に改訂する。総務省が主導する、音声卸料金値下げとの関係についてはコメントを控えた。 - ドコモ、iPhone・iPadなどへeSIM提供開始 キャリア4社出そろう
NTTドコモが組み込み型のSIMカード「eSIM」の提供を始める。米AppleのiPhoneとiPadなど24機種を対象に、ドコモオンラインショップとahamoサイトで申し込みを受け付けるという。これでキャリア4社全てがeSIMに対応したことになる。 - 総務省、携帯ショップの「通報窓口」を開設 意図しないプラン契約など事例を募る
一部の携帯電話の販売代理店で、利用者への十分な説明なく高額プランを契約させるなどの事案が発生しているとして、総務省が情報提供窓口を同省の公式Webサイト上に開設した。匿名での情報提供も可能。必要に応じて消費者庁と公正取引委員会にも共有する。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.