NECがヘルスケア事業に本気 2030年までに5000億円の価値創出へ 「50年の実績とAI開発技術の両輪生かす」
NECがヘルスケア・ライフサイエンス事業に本腰を入れる。2030年までに5000億円の事業価値の創出を目指して「50年以上の実績と自らAIを作れる力の両輪を生かす」という。
NECは9月15日、AIなどを活用してヘルスケア・ライフサイエンス事業を強化し、2030年までに5000億円の事業価値創出を目指すと発表した。ヘルスケア事業の責任者を務める北瀬聖光さんは「これらの事業に50年以上前から取り組んできた実績と自らAIを作れる力、その両輪を生かす」と話す。
注力する事業領域は3つ。内視鏡画像の解析AIなど医療分野のデジタル活用を「メディカルケア」、歩行情報から健康状態を判定するなどのヘルスケア事業を「ライフスタイルサポート」、AI創薬などの科学分野を「ライフサイエンス」と位置付け、それぞれ取り組んでいく。
これらの事業の土台となるのが生体認証技術とAIだ。世界トップレベルの認証精度を持つ顔認証技術や、同社が強みを持つ映像分析をはじめとするAI技術群を生かし、各事業領域で競合との差別化を図る。
一方、AIを医療領域などで活用する上では課題もある。AIが最終的に出した答えがどのようなプロセスで導かれたか明示できなければ、医師や患者が納得しない可能性があるからだ。北瀬さんは「その点はNECが得意とする領域だ」と説明する。
「NECではこれまでも、AIがどのような論理で結果を出したのか、その中身が分かる“ホワイトボックス型”のAIを開発してきた。この開発技術を生かすことで、NECならではの独自性をヘルスケア事業でも発揮できる」(北瀬さん)
近年はディープニューラルネットワークを用いた深層学習(ディープラーニング)が注目を集めているが、NECはディープラーニングを用いたAIについて、結果を出すまでの過程・根拠を明らかにすることが難しい「ブラックボックス型」と指摘。さまざまなデータから規則性を見出す「異種混合学習」など別の技術により、「説明可能(ホワイトボックス型)なAI」を提供していくという。
経済産業省は国内ヘルスケア産業市場規模について、2016年時点の25兆円から2025年には33兆円に成長すると予測している。北瀬さんは「データの利活用は企業単独では決められない場合も多い。政府や行政組織など、外部機関とも連携を取り、実証を進めたい」と意気込んでいる。
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