公取委がスマホOSの市場調査へ 「iOSやAndroidに他のOSが競争圧力与えているか」
公正取引委員会が、モバイル用OSの実態調査に乗り出す。OSとアプリの流通市場の構造や競争の実態を把握する。終了時期は未定だが、何らかの成果物を公表予定で、内閣官房とも連携するとしている。
公正取引委員会(公取委)は10月6日、スマートフォンなどモバイル向けOSについての実態調査を実施すると発表した。OSとアプリの流通市場の構造や競争の実態を把握する他、市場で有力な事業者が、地位を利用して周辺市場に影響を及ぼしているかを調査する。調査対象は米Appleの「iOS」と米Googleの「Android」に限らないが、他のOSが競争圧力(代替となる選択肢)として働いているかも含め調べるとしている。
OS提供事業者、商品・アプリの開発事業者、消費者へのアンケートなどを通して調査する。公取委のWebサイトに設置された情報提供窓口からも意見を募る。もし有効な競争が働いてない場合は、原因や弊害についても調べる。
モバイルOSの周辺分野として、ウェアラブル端末や音声アシスタントなどの分野も含むことを示唆している。ただし、具体的な問題行為があっての調査ではなく、あくまでも市場構造などを理解するための実態調査としている。
終了時期は未定だが、何らかの成果物を公表するという。内閣官房とも連携するとしている。
これまで、公取委ではオンラインモール・アプリストア、デジタル広告などの実態調査を実施。現在はクラウドサービスの調査を進めており、今回のモバイル用OSは、それに続く新規の実態調査という。英国やオランダ、オーストラリアなどでも同様の調査が進められており、こうした競争当局ともコミュニケーションを進めたいとしている。
公取委は、調査理由について「スマートフォンを通じて提供するアプリやサービスが多様化する中、サービス提供に必須なモバイルOSとアプリストアの実態を把握することは、こうした市場に加えて、スマートフォン上やその周辺で提供されるサービス市場の競争環境を整備するためにも極めて重要」と会見で語った。
関連記事
- 公取委がクラウドサービスの実態調査に着手 寡占化にメス
公正取引委員会(公取委)がクラウドサービスを対象とした実態調査を開始すると発表した。調査を踏まえ、独占禁止法や競争政策上の論点を整理する方針。AWSやGoogleなどが対象になるとみられる。 - 閲覧系サブスクアプリは“Apple税”回避可能に Appleが日本の公取委と調整
Appleが、NetflixやSpotifyなどのサブスクリプションサービスアプリに限り、課金のためのWebサイトへのリンクを認める。同社を調査してきた日本の公取委員会との合意に基づくものだが、世界で適用する。Epic Gamesのアプリは対象外だ。 - Epic対Apple訴訟に判決 Appleにアプリ内購入の強制禁止命令もEpicは控訴か
Epic Games対Appleの、「Fortnite」のアプリストアからの削除をめぐる裁判の判決が下された。Appleに対し、App Store以外での支払いオプションへの誘導を認めるルール変更を命令した。Apple税に関しては変更を命じなかった。 - 総務省、携帯ショップの「通報窓口」を開設 意図しないプラン契約など事例を募る
一部の携帯電話の販売代理店で、利用者への十分な説明なく高額プランを契約させるなどの事案が発生しているとして、総務省が情報提供窓口を同省の公式Webサイト上に開設した。匿名での情報提供も可能。必要に応じて消費者庁と公正取引委員会にも共有する。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.