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保険証の代わりにマイナンバーカードで受診、病院で「マイナ受付」はじまる(2/2 ページ)

保険証の代わりにマイナンバーカードで病院を受信できる「マイナンバーカードの保険証利用」をデジタル庁と厚生労働省が始める。すでに医療機関の2.7%に当たる6190施設で稼働。1万7032施設(同7.4%)で提供準備が完了しているという。

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情報管理の仕組み

 マイナンバー制度は、情報の分散管理を徹底した仕組みだ。今回の保険証確認においても、国、保険者(健康保険組合)、医療機関のそれぞれが管理する情報を切り分け、情報の一元管理が起こらないような制度として設計している。

 まず、医療機関ではマイナンバーそのものを扱わない。医療機関側が扱うのは、「機関別符号」と呼ばれる専用の識別子で、これに医療保険の被保険者情報と、電子カルテなどの医療に関わる情報をひもづけて管理する。このうち、他の医療機関での処方履歴などの診療情報は、受診者の同意のもとで、本人確認を実施する医療機関が取得できるようにする。


マイナンバーカードを用いた保険証利用のシステム概要図(厚生労働省資料より

 個人のマイナンバーと保険資格の情報のひもづけは、保険者(健康保険組合)が管理する。

 この仕組み上での顔認証は、マイナンバーカードの内部のICチップに保管されている顔写真の情報を、目の前にいる受診者の顔と照合するもので、顔写真のデータが外部に転送されることはない。顔認証を使わずICカードリーダー型で認証もできるが、その場合は医療機関のスタッフが目視でマイナンバーカードと受診者の顔が一致しているかを確認する。

医療機関側の対応が課題か

 マイナンバーカードの保険証利用は、2021年10月時点ではまだプレ運用の段階で、全医療機関の2.7%に当たる6190施設で稼働している。システム改修などで提供準備が完了している医療機関は1万7032施設(同7.4%)だ。

 顔認証付きカードリーダーの無償配布については12万8789施設が申し込みを済ませており、病院に限定すると全都道府県で60%、薬局では全都道府県で70%に達する。

 厚生労働省は顔認証機能付きカードリーダーを病院では3台まで、薬局や診療所では1台まで無償で提供。追加導入やシステム改修に対する費用負担も補助している。現時点では実際に利用できる医療機関は限られているものの、今後順次、対応が進む予定。

 一方でマイナンバーカードの発行は、あまり進んでいない現状がある。マイナンバーは日本に住民票がある人全員に割り当てられているが、カードの発行数は4869万件で、人口の38.4%が交付されている計算になる。このうち、保険証利用の登録は540万5076件で、カード交付数の11.1%にとどまる。

 マイナンバーカード制度は税務や公的個人認証での活用から始まり、キャッシュレス決済を普及させるための「マイナポイント」など、政府の施策にも活用されてきた。とはいえ、これまでは発行の手間に対して使える用途が限られている印象は否めなかった。

 一方で、今回のマイナンバーカードによる保険証利用は一度登録を済ませれば、高齢者でも手軽に使えるような仕組みとなっている。実際に便利なサービスとして普及するかは、医療機関側での対応が肝になる。そのためにはもちろん、医療機関側にとっても使いやすいシステムの構築や改善が必要となるだろう。

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