Meta(旧Facebook)、7年かけて開発中の「触覚グローブ」の進捗を報告
Meta(旧Facebook)のReality Labsが開発中の「触覚グローブ」の進捗状況を紹介した。アクチュエータやセンサー、高速マイクロ流体プロセッサなどのハードと、触覚レンダリングソフトの開発を進めている。メタバースの没入型体験実現のために触覚と視聴覚のシンクロを目指す。
米Meta(旧Facebook)のAR/VR研究部門、Reality Labs(旧Facebook Reality Labs)は11月16日(現地時間)、「将来メタバースに触覚をもたらす」触覚グローブの開発状況を公式ブログで報告した。約7年前から開発しているという。
マーク・ザッカーバーグCEOが10月に宣言したように、Metaは「Facebookサービスからメタバースファーストに」シフトしていく。同社は触覚は視聴覚と同じくらい、メタバースの没入感に必要な感覚だと考えており、リアルな触覚をユーザーの手に伝えるためのグローブを開発してきた。
このグローブは、触れる仮想オブジェクトのテクスチャ、圧力、振動などを再現でき、長時間装着していても快適さを保てるものを目指している。
触覚グローブの基本構造は、手のひら側に数百のセンサーとそれに触覚を伝えるための「アクチュエータ」を散りばめるというものだ。当初は電動式アクチュエータの小型化を検討したが、硬く、発熱が高く、そもそもコストがかかるため、義肢やPcO診断デバイスで採用されている空気圧アクチュエータを応用することにしたという。同時にアクチュエータを動かすための「高速マイクロ流体プロセッサ」を構築し、ミリ秒単位で情報を伝達できるようにした。
ソフトウェア的には、仮想オブジェクトの感覚を、いつどこに届けるかを検出する技術が必要だ。手の位置、仮想オブジェクトのテクスチャ、重さ、硬さなどを適切なタイミングで手に伝えるための触覚レンダリングソフトを開発している。
また、リアルなメタバース体験のためには、触覚を視聴覚とシンクロさせる必要がある。触覚グローブは、アクチュエータで指の皮膚を引っ張ることで仮想オブジェクトの重量を模倣するが、この触覚を目で見た動きと聞こえる音とシンクロさせなければリアルには感じられないからだ。
Reality Labsは、視聴覚的なコンテンツを作成するのと同じ方法で触覚コンテンツを作成できるツールも構築したいとしている。
また、触覚グローブの装着感を良くするために、導電性があり、センシング機能を搭載できる安価なポリマー素材を開発している。
触覚グローブを各ユーザーの手にカスタムフィットさせるための技術や、大量生産するための新たな製造プロセスも研究している。
Reality Labsのリサーチサイエンスディレクター、ショーン・ケラー氏は触覚グローブプロジェクトの目標を「スタイリッシュで快適で手頃な価格で耐久性がありカスタマイズ可能な触覚グローブをVRヘッドセットやARメガネとペアリングして、メタバースでのコンサートやゲームプレイなどの没入型体験を実現すること」と語った。
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