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ビール醸造の全行程にAI導入 キリン、脱属人化と4000時間の削減に3.3億円投資
キリンビールはNTTデータと共同で、ビール醸造の仕込と発酵の工程を効率化するAIの試験導入を始めた。技術の属人化を防ぐとともに、年間4000時間以上の削減を目指す。
キリンビールは11月29日、NTTデータと共同で、ビール醸造の仕込と発酵の工程「仕込・酵母計画業務」を効率化するAIを開発し、全9工場で試験導入を始めたと発表した。19年から導入を進めている発酵後の工程「ろ過計画業務」を担当するAIと併せて醸造の全行程にAIが関わるようになり、技術の属人化防止と年間4000時間の削減を目指す。
担当者の指示と製造計画などのデータを入力すると、AIが必要仕込量や発行タンクのスケジュールなどをシミュレーションするシステム。ろ過計画業務を担当するAI(1億6000万円)をベースに追加で1億7000万円を投じて開発した。2022年1月には本格運用を始める。
仕込・酵母計画業務は複雑で技術伝承も難しい業務だが、熟練者へのヒアリングで“経験と勘”を標準化することで、属人化を解消。年間1000時間以上の時間削減を目指す。ろ過計画業務担当のAIと合わせると、醸造の全行程にAIが関わるようになり、年間4000時間を削減できる見込み。
空いた時間を活用して、さらなる品質向上や若手の育成など、人にしかできない価値創造に人的リソースを割くとしている。
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