日本郵便、約21万人分の顧客情報を紛失 “紙多すぎ”で扱いきれず
日本郵便が、郵便局で取り扱った投資信託取引と国債取引の取引内容を記録した「金融商品仲介補助簿」などを紛失した。合わせて約21万4000人分の顧客情報が記載されていたという。
日本郵便は12月15日、金融商品について顧客の取引内容を記載した「金融商品仲介補助簿」などを紛失したと発表した。合わせて約21万4000人分の顧客情報が記載されていたという。仲介補助簿には、氏名や記号番号、取引内容(購入・解約)、取引金額、銘柄などを記載しているという。
全郵便局1万9816局に対し、2010年度から2019年度までの仲介補助簿の確認をしたところ、6389局(全体の32.2%)で社内紛失が判明。対象の顧客数は約7万2000人としている。
加えて、2010年度から2019年度までの各種料金などの払込取扱票など、郵便局控えの書類の有無を確認したところ、176局(全体の5.5%)で約14万2000人分の個人情報を紛失したという。控えの書類に記載していた個人情報は、氏名や取引内容、取引金額など。
書類紛失の原因には、社内規定の周知不足や、取り扱う紙の量が膨れ上がっていたことを挙げている。
仲介補助簿については保存場所や期間を定めていたが、各郵便局での保存期間の認識の違いや、保存する箱の入れ間違いにより、保存期間内に誤って廃棄してしまった。その他の書類についても「紙媒体で作成・保存すべき書類が膨大な環境にあることが、取扱いのミスにつながった」とした。
今回紛失した書類は誤った手順により廃棄された可能性が高く、郵便局外に持ち出す必要もなかったものという。この件に関して、これまでに顧客からの照会や不正な要求などはなかったことから「外部への情報漏えいの可能性は極めて低く、二次被害の発生のおそれはない」という。
仲介補助簿は2021年6月に紙媒体の保存を廃止し、電子データでの保存に移行済み。このため、紛失した仲介補助簿に記載されていた情報も復元済みという。再発防止策として、その他書類もペーパーレス化を進める。関係役員3人へも厳重に注意し、社員への個人情報の保護に関する指導も継続して行うとしている。
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