Google、脱Cookie技術「FLoC」開発を停止し、新たな「Topics」を発表
Googleは、ユーザーのプライバシーを守りつつ適切な広告を表示するための技術「FLoC」の開発を停止すると発表。それに代わる新技術「Topics」のテストを間もなく開始する。FLoCへのフィードバックに基づいて、FLoCに代わるものとして開発する。
米Googleは1月25日(現地時間)、2021年3月に発表したサードパーティーcookieに代わる技術「FLoC」(Federated Learning of Cohorts)の開発を停止し、新たに「Topics」と呼ぶ技術のテストを年内に開始すると発表した。
同社は、ユーザーのWebプライバシーを改善しつつ適切な広告を表示するための取り組み「Privacy Sandbox」の技術としてFLoCを開発してきたが、ユーザーを特定できてしまう可能性を指摘されたり、この取り組みが独禁法に違反する可能性があるとされたりと、批判が高まっていた。
Googleは「Topicsは、FLoCのテストからの学習と幅広いコミュニティからのフィードバックに基づいて、FLoCに代わるものとして開発する」と語った。
Topicsの大まかな仕組みはこうだ。Webブラウザが、ユーザーのWeb閲覧履歴に基づいて、そのユーザーが興味を持つと推測されるいくつかの「トピック」(フィットネス、旅行、など)を決定する。このトピックをWebサイトとその広告パートナーと共有することで、Webサイトでトピックに関連する広告を表示する。トピックは3週間保持された後削除される。また、トピックは外部サーバではなく、デバイス上で選ばれる。どのトピックに関連する広告を表示するかはランダムに決まるので、例えば行く先々で同じ広告が表示されることも減るだろうし、個人の特定もFLoCより困難になる。
トピックのリストは人間が決め、一般に公開する。トピックAPIは機械学習でホスト名からトピックを推測することを提案する。分類モデルのトレーニングは、人間が作成したホスト名とトピックを使って行う。
FLoCで懸念されたようなフィンガープリントのリスクを減らすため、トピックは最終的には数百件から数千件の間にする計画で、現在は約350件にする予定だ。また、人種、性的指向、宗教などのデリケートなカテゴリーはトピックに含めない。
ユーザーはWebブラウザの設定でトピックを表示し、不要なトピックを削除したり、トピックによる広告表示を完全に無効にしたりできる。
Topicsに関する詳細はこちらを、開発者向けの情報はこちらを参照されたい。
関連記事
- Googleを米4州が提訴 位置情報収集や「ダークパターン」めぐり
「Googleの欺瞞的で違法な慣行を阻止する」として、米ワシントンD.C.など4州がGoogleを提訴した。「ダークパターン」の利用などでユーザーをだまして個人情報を入手したと主張する。 - Google、「プライバシーサンドボックス」で独立監視者任命を約束
英政府の競争規制当局CMAは、Googleから「プライバシーサンドボックス」に関する改善したコミットメントを受理したと発表した。独立した監視受託者の任命などが含まれる。CMAはこれについて12月半ばまで協議する。 - Google、ChromeでのサードパーティーCookie廃止を2023年まで延期
Googleが、ChromeブラウザでのサードパーティーCookie完全廃止の目標日程を延期した。2023年後半を目標とする。「正しく行うにはエコシステム全体でより多くの時間が必要であることが明らかになった」としている。 - Google、サードパーティーCookie完全廃止に向けてFLoCのテスト開始
Googleが来年予定しているChromeでのサードパーティーcookie完全廃止に向けて、これに代わるプライバシー重視の代替技術「FLoC」のテスト開始を発表した。“他のプロバイダーのように”サードパーティーCookieの代わりにユーザーを一意に識別するような識別子を使うことはしないと強調した。 - Cookie禁止に動くGoogleの秘策「プライバシーの砂場」とは?
Googleが2年以内にサードパーティーCookieをサポートしなくなると発表し、波紋が広がりました。これでターゲティング広告ができなくなるわけではなく、Googleはそれに変わる「プライバシーサンドボックス」を準備中です。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.