ロシア、Meta(旧Facebook)を刑事訴訟 「ロシアの侵略者に死を」非削除のポリシー変更で
Meta(旧Facebook)が本来ならポリシー違反である「ロシアの侵略者に死を」などの投稿を一部地域でのみ認めるポリシー変更を行った。これを受け、ロシア当局はMetaを刑事訴訟し、Instagramへのロシアでのアクセスを制限すると発表した。
ロシアの主要捜査当局であるロシア連邦捜査委員会は3月11日(現地時間)、FacebookとInstagramを運営する米Metaがロシア国民に対する殺人と暴力を呼び掛けたとして刑事訴訟を起こしたと発表した。
ロシアはまた、米当局に対し、Metaの「過激派活動」を停止、裁判にかけるための措置を講じることを要求すると、在米ロシア大使館の公式Facebookページを通じて発表した。
発端は米Reutersが10日、入手したMetaの社内メールに基づき、一部の国のFacebookおよびInstagramのユーザーは、ロシアによるウクライナ侵略に関連したものであれば、ロシア人とロシア人兵士に対する暴力の呼び掛けを可能にするポリシーの一時的な変更を実施すると報じたことだった。
Metaの広報担当者はReutersに対し、一時的に「ロシアの侵略者に死を」(death to the Russian invaders)などの暴力的な言論を一時的に認めるが、ロシアの一般国民に対する暴力の呼び掛けは許可しないと語った。同社のコミュニケーションディレクターを務めるアンディ・ストーン氏はロシアの一般国民は対象ではないことをツイートで強調した。
ロシア連邦捜査委員会は、「アンディ・ストーン氏はロシア軍に対する暴力の呼び掛けの禁止の一時的な解除は、そうした表現が一種の政治的表現だと説明した」が、これはロシア連邦刑法で禁じるテロ活動への支援に当たる可能性があると主張し、刑事事件の一環として、ストーン氏とMetaの行動を法的に評価するための調査措置を実施していると語った。
また、ロシア連邦政府の通信・メディア監督当局Roskomnadzorは11日、Metaが「ロシア市民に対する暴力の呼び掛けを含む投稿を許可するという前例のない決定を下した」ことで、Instagram上でロシア人に対する暴力を奨励・誘発するメッセージが広まっているとし、14日から48時間、Instagramへのアクセスを制限すると発表した。
ロシアは既にFacebookへの国内でのアクセスを制限している。
Metaで国際関係プレジデントを務めるニック・クレッグ氏は11日、公式Twitterアカウントで「ロシア政府がMetaを過激派組織と指定しようとしているという報道に応えるとして、声明文を画像で公開した。
クレッグ氏は、ポリシーを変更しなければ、ウクライナ人による、侵入するロシアの軍隊に対する抵抗と怒りを表現するコンテンツを削除しなければならなくなり、それは受け入れられないと見なされると説明した。このポリシー変更はウクライナでのみ適用するものであり、ロシア人に対するいかなる種類の差別、嫌がらせ、暴力も容認しないとしている。
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