首都圏210万軒の大規模停電、直接の原因と復旧の理由は同じだった
16日に発生した福島県沖地震では首都圏でも最大で約210万軒の停電が発生したものの、約3時間後にはほぼ解消した。短時間で復旧できた理由は、停電の“直接の原因”と同じだった。
3月16日に発生した福島県沖地震では首都圏でも最大で約210万軒の停電が発生したものの約3時間後にはほぼ解消した。短時間で復旧できた理由は、停電の“直接の原因”と同じだった。
東京電力パワーグリッドによると、首都圏の停電は送電網を保護する装置「UFR」(周波数低下リレー)が作動したため。UFRは送電網内の周波数の変化を検知すると自動的に一部地域への送電を停止する仕組み。送電網を保護する安全装置として各地の変電所に設置している。
なぜ送電を停止するのか
大きな地震が発生した時、発電所はタービンなど重要な設備の破損を防ぐために緊急停止する。しかし複数の発電所が同時に停止して電気の供給力が大きく減ってしまうと送電網内の需給バランスが崩れ、電気系統の周波数(富士川より東は50Hz)が大幅に低下してしまう。
周波数が低下すると電気の供給が正しく行われず、場合によってはその電力会社の管轄する地域全てが停電するような大規模停電、いわゆる「ブラックアウト」を引き起こす。
2018年9月の北海道胆振東部地震では実際にブラックアウトが発生した。地震の直後に北海道で最も大きな「苫東厚真火力発電所」や各地の風力/水力発電所が相次いで停止し、地震発生から約17分後には北海道全域に及ぶ最大約295万戸が停電。復旧には約50時間、丸2日以上を要した。
今回の地震では東北電力の「原町火力発電所」をはじめ、東京電力に送電しているJERAの「広野火力発電所」(福島県双葉郡)など11カ所の火力発電所が緊急停止した。約600万kWの供給力が一気に失われ、各地のUFRが作動。送電が断たれた地域は停電したものの、鉄道など公共性の高いインフラは維持したままブラックアウトや送電網の損傷を防いだ。
実は同じことは21年2月に発生した福島県沖を震源とする地震の際にも起きていた。このときは6カ所の火力発電所が緊急停止し、約650万kWの供給力を一時的に喪失。UFRが作動して東電と東北電力の管内で最大95万軒が一時停電したが、半日後にほぼ復旧している。
今回はより迅速だった。東京電力パワーグリッドによると午前0時半過ぎから安全確認が終わった地域から送電を再開し、午前2時52分に首都圏の停電はほぼ解消した。地震の発生から3時間16分後だった。
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