Engadget日本版の思い出 4つの時代を振り返る(3/3 ページ)
3月31日で終了するニュースブログメディア「Engadget日本版」。深く関わった小寺信良さんが、編集長たちとの思い出を語る。
津田啓夢氏の動画メディア時代
鷹木氏とドローンイベントの打ち合わせしている時に紹介されたのが、津田啓夢氏だった。当時は記者という立場だったと思うが、のちにEngadget内でYouTubeチャンネルを立ち上げる中心人物となっていった。
筆者も他のメディアでは顔出しの動画レポートを毎月アップしていたので、動画レポートのメンバーに入れてもらえることになった。そのときはとにかく数がほしいということもあり、かなりの量の動画コンテンツがアップされたはずだ。
数字的にも悪くないところまで行ったはずだが、この取り組みは一定の成果は確認できたということで、突然打ち切りとなった。
動画メディアをやりたいという思いが強かった津田氏はEngadgetを飛び出し、2018年にbouncyへ移籍し、翌年編集長となった。そして就任すぐにbouncyは朝日新聞へ譲渡されたため、今は朝日新聞社の傘下となっている。
矢崎編集長時代
Engadgetは2017年に、編集長が矢崎飛鳥氏へと引き継がれた。矢崎氏は週刊アスキーで名物編集者として鳴らした人物だが、筆者はそもそもアスキーとあまり付き合いがなかった。矢崎氏とはメーカー発表会やイベント等で顔を合わせれば挨拶する程度で、一緒に仕事したことがなく、あまり詳しくは存じ上げない。
ただこの頃からEngadgetでは外部ライターを多く使うようになり、筆者もCESレポートなどで多くの取材ネタを提供するようになった。宮崎に転居してからも、ガジェットの小ネタやベストバイなどを書かせてもらえたので、収入的にも精神的にも助かった。
今後、ちょっとしたガジェットネタを書かせてもらえるメディアがなくなるというのは、個人的にも残念である。まあ筆者などは付かず離れずでおつきあいさせていただいた程度なのだが、矢崎編集長、Ittousai氏をはじめ、お世話になってきた編集者の面々、Engadgetにかなりの比重を置いていたフリーライターの今後のことも心配である。
そして何よりも、これまで17年間の蓄積が消滅してしまうというのが残念だ。Engadgetでしか出会えない記事もたくさんあったはずである。今後また、Engadgetのようなヒネリの効いたメディアが登場できる余地が、日本のWebにあるだろうか。
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