卓球の正しいスイングを教えてくれるロボットアーム VR環境下でマンツーマン指導:Innovative Tech
早稲田大学中島研究室とQatar Universityの研究チームは、VRシステムとロボットアームを連動させた卓球トレーニングシステムを開発した。VR環境下でユーザーの手の動きを誘導することで、卓球の打ち方の練習を効率的に行い、スキルアップをサポートする。
Innovative Tech:
このコーナーでは、テクノロジーの最新研究を紹介するWebメディア「Seamless」を主宰する山下裕毅氏が執筆。新規性の高い科学論文を山下氏がピックアップし、解説する。
早稲田大学中島研究室とQatar Universityの研究チームが開発した「T2Snaker: a Robotic Coach for Table Tennis」は、VRシステムとロボットアームを連動させた卓球トレーニングシステムだ。VR環境下でユーザーの手の動きを誘導することで、卓球の打ち方の練習を効率的に行い、スキルアップをサポートする。
提案システムは、VR環境とロボットアームで構成する。ロボットアームは9個のサーボモータを直列に接続したもの(9自由度)で構成される。全長990mm、重量2.25kg。蛇ロボットから着想を得たという。
ロボットアーム先端には卓球ラケットとVRコントローラーが取り付けられ、 VR内のラケットの動きとロボットアーム の動きを同期している。使いやすさを考慮し、ロボットアームはアルミ製の台座に固定しているが、ウェアラブルとして身体への装着も可能だ。
システムは、VR環境をもとに正しいスイングを行うためのロボットアームの姿勢を計算する。計算されたロボットアームの角度は、システムからロボット制御システムに送られる。
ユーザーはVR HMD(ヘッドマウントディスプレイ)を装着し、ロボットアーム先端に取り付けられたラケットを握ってVR卓球ゲームを体験することで、正しいスイングが力覚フィードバックによって体感できる。
評価実験ではVR経験がある参加者10人を対象に行われた。ロボットアームを使用し練習するグループと、VRだけで練習するグループに分かれてテストした。実験の結果、ロボットアームを使用したグループの方がスキルレベルがより向上した。
参加者からは、「ロボットアームによって、スイングの感覚がよりダイレクトに伝わるのが良いと思う」や「実戦でコーチがサポートしてくれているような感じがする」など、物理的な卓球指導を高く評価する声が聞かれた。
Source and Image Credits: Kodai Fuchino, Mohammed Al-Sada, Tamon Miyake, and Tatsuo Nakajima. 2022. T2Snaker: a Robotic Coach for Table Tennis. In Augmented Humans 2022 (AHs 2022). Association for Computing Machinery, New York, NY, USA, 305-308. DOI:https://doi.org/10.1145/3519391.3524029
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