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PCの在り方をMicrosoftとIntelが規定した時代 PC 9x/200x System Design Guideとは何だったのか“PC”あるいは“Personal Computer”と呼ばれるもの、その変遷を辿る(1/5 ページ)

PCをその源流から辿っていく連載の第19回は、Hardware Design Guide、System Design Guideとは何だったのかという点について。

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 昔ながらのIBM PC、PC/AT互換機からDOS/Vマシン、さらにはArmベースのWindows PC、M1 Mac、そしてラズパイまでがPCと呼ばれている昨今。その源流から辿っていく第19回は、Hardware Design Guide、System Design Guideとは何だったのかという点について。


 Windows 95(英語版)は1995年7月に発売された。このWindows 95がPCというものの概念を大きく変えたのは言うまでもないことで、不完全というか、いろいろと制約が大きかったWindows 3.xのGUIが大幅に使いやすくなった。語弊を恐れずに言えば、やっとMacintoshを超える使い勝手が手に入った、としても良いかもしれない。システム的な面でいっても、なんだかんだいいつつDOSの上のアプリケーションという域から脱しきれなかった(※1)。

※1:とはいえ32bitで動作するProtect ModeそのものはDOSとは別の世界ではあったのだが

 この構図そのものはWindows 95でも同じで、特にHeap領域が1MB固定というあたりはいろいろ制約があったものの、見かけ上はDOSが完全に遮蔽され、システムの管理そのものがWindows 95から可能になったという部分はWindows 3.xとは別物に仕上がった。

 完全にDOSの影響から脱するのはWindows NT系列への切り替えを待たざるを得ず、広く利用されるようになったWindows 2000の登場を待たねばならなかったものの、「DOSを知らないと結構使うのに困る」Windows 3.xに対し「DOSを知らなくても何とか使える」Windows 9xがPCに与えた影響は大きい。

 これに先立つ1994年11月、Microsoftは出版部門(Microsoft press)経由で“Hardware Design Guide”を出版している。現在では“Hardware Design Guide for Microsoft Windows 95“として知られているこの本(というか、仕様書)、出版時には何しろまだWindows 95という名前が使えない(当時は開発コードを利用して「Windows "Chicago"」などと記事には書いていた)から最初の版にはWindows 95の文字はない。ただ邦訳の方はもうWindows 95発売後ということもあり、Windows 95の名前がモロに出ている。

 ちなみに1994年11月に出版ということは、この時点での原稿はもう少し前(7月かそのあたり?)のもので、その後にいくつか変更とか追加があり、それもあって後追いの形で“Hardware Design Guide Supplement”という書籍も発売になっている。邦訳版の方はこの2冊の内容をまとめた格好だ。Windows 95の方も発売直前まで修正などが行われていたから、どうしても書籍の内容が古くなったり漏れが出るのは避けられないわけで、これは当時としても別に珍しい話ではなかった。

 さて問題はこの中身である。

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