古文書を解読できるスマホアプリ 凸版印刷が開発 くずし字対応AI-OCRを活用
凸版印刷は、古文書などのくずし字資料をスマートフォンで撮影し、その場で解読できるアプリを発表した。資料館などの調査業務効率化を効率化する狙い。23年1月にiOS版アプリのβ版を公開、3月に正式版を一般販売する予定。
凸版印刷は9月13日、古文書などのくずし字資料をスマートフォンで撮影し、その場で解読できるアプリを発表した。資料館などの調査業務効率化を効率化する狙い。9月から複数の資料館で実証実験を進め、23年1月にiOS版アプリのβ版を公開、3月に正式版を一般販売する予定。
AIを活用したOCR(光学的文字認識)エンジンを搭載し、手書きや木版でつくられた古文書の読み取りが行える。資料館の業務効率化を支援する他、一般利用者の「手元にある古文書の概要を知りたい」「くずし字を読めるようになりたい」などのニーズにも対応し、貴重な歴史資料の破棄や散逸の防止にも貢献するとしている。
古文書は日本国内に数十億点以上残存すると推測され、江戸時代の生活の様子や災害の記録など、現代の社会課題にも直結する情報が記されているという。しかし、ほとんどはくずし字で書かれているため現代人には判読が難しく、また、個人が所有しているものは、内容が分からないため破棄されるケースも多いという。
凸版印刷ではこの課題を解決するため、2015年から国文学研究資料館と共同研究を開始。古文書対応のAI-OCRの開発に取り組んできた。その中で「手元の古文書を手軽に読みたい」という一般利用者向けのサービスに対する多数の要望があり、今回のアプリ開発に至ったとしている。
凸版印刷は今後、2025年度までにAPI提供や関連事業を含め、一般利用者や教育機関、博物館・資料館、地方自治体などのサービス提供を拡大し、約3億円の売り上げを目指す。
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