本番さながらの訓練がもたらす変化とは? 三菱地所の防災訓練に参加した:デジタル防災を始めよう(2/2 ページ)
1日に三菱地所「常盤橋タワー」で行われた避難訓練を取材した。テクノロジーの進歩やテレワーク普及といった変化により、その風景も以前とは少しずつ変わっているようだ。
訓練内容も様々だ。常盤橋タワーの消火訓練の他、各地の事業所では1)ハイブリッドワーク(テレワークとリアル勤務の混在)による対応人員が限られる状況下での組成訓練、2)発災直後の初動対応、3)被災情報収集・伝達訓練、4)社員の安否確認や模擬消火訓練などを実施した。全国にある40の物件(オフィスビルなど)では帰宅困難者の受け入れや仮の救護所設営訓練。VR防災体験車を使用する体験型の訓練なども行っている。
そのうちの1つである「煙ハウス体験」は、実際に煙が充満しているテント内を姿勢を低くして移動するというもの。煙を吸い込まないようにハンカチやマスクで口や鼻を覆いながらしゃがんで移動する。無害だが匂いが付いた煙の中を進んでいくと、思いのほか多くの煙を吸い込んでいること、視界の悪さなどに気づかされる。
災害発生時には、たとえ頭では理解していても動けないことがある。訓練の疑似体験を通じ「どういう状況になるか」というイメージをつかんでおかないとスムーズに対応できない。そういう意味でもVRを含む疑似体験は重要だろう。
想像力が大事
防災訓練や避難訓練では、いざというときに迷わず行動できるように、チェックする項目やとるべき行動を繰り返し練習する。小学生の時に教えられたように、大きな地震が来たら机の下に潜り込んで身を守るといった行動が身につく。
また「もし今、災害があったらどう行動すべきか?」と想像し、対処をイメージすることも重要だ。「地下鉄で移動中に地震が発生したら?」「乗ってる船が沈没したら?」「台風で橋が寸断され居住地域が取り残される状況になったら?」など、起こり得る状況をイメージしてどうすべきか考える。これが連載当初から繰り返している「マイタイムライン」なのだ。
「もしこうなったらどうしますか?」という問いかけに「そんなことは起こらない」とか「気をつけていれば大丈夫」などと返してくる人がいるが、可能性はゼロではない。もちろん備えていても対処しきれないこともあるだろうが、最初から想定していな人と比べれば結果は雲泥の差となるだろう。
全ての想定に対していちいち備えてられないという人もいる。しかし実際にマイタイムラインを設定すると、準備するものはだいたいこれがあれば大丈夫そうという共通アイテムに絞られてくるものだ。
それを災害時にしか使わない(例えば非常用トイレなど)完全な防災グッズと、カセットコンロなど普段から使うものとに分けて、普段から使えるものは防災グッズとして適した機能を持つものでそろえれば効率が良い備えとなる。
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