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Web3起業家はなぜシンガポールに向かうのか?(2/3 ページ)

このところ、ブロックチェーン関連の起業家、今風の言葉でいえばWeb3起業家の日本脱出がしばしば言われる。その向かい先はどこかといえば、シンガポールだ。彼らはなぜ日本を脱出してシンガポールに向かうのか?

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ランチは2000円、シンガポールのリアル

ーーシンガポールには日本人のWeb3起業家はどれくらいいるのでしょうか。

佐藤 私が把握しているものだけで、20プロジェクトくらいあります。その周りでは、起業しようとして模索している人がけっこういます。そして、その会社で働く人もいます。シンガポールは1社あたりに出してくれるビザに3人までという限界があるので、合計でも50人前後くらいでしょうか。

 シンガポールで起業する場合、日本の住民票を外してシンガポールに移住して登記しなくてはなりません。代表者はエンプロイメントパスというビザを取るのですが、これは起業した直後の社長は取りやすい。自分に給与を700〜800万円くらい払えば通ります。一人暮らしでも、最低月間40〜50万円はかかるので、800万円くらい出さないと活動できないからです。

 その後は、シェアオフィスに席を設けてシンガポールの自宅で仕事をしたり、海外各地で仕事をしたり、いろいろなパターンがあります。


9月に行われたクリプトのイベント、TOKEN2049にて

ーーシンガポールは住みやすい街ですか?

佐藤 昔から上海、香港、シンガポールは、英語でコミュニケーションできて住みやすいといわれています。物価は高いけれど、東京の銀座で暮らしていると思えば、そうでもありません。安いチキンライスを食べにいくこともありますが、毎回だと辛いんですよね。お昼ご飯を食べるなら予算は2000円くらい。ただ米国もそのくらいだし、日本だけですよ、あんな値段でご飯が食べられるのは。

 ステュディオといいますが、40平米くらいの部屋の家賃が30〜40万円くらいという感じです。

ーーWeb3企業の給与はやっぱり仮想通貨なんでしょうか。

佐藤 業務委託契約にして、ドルステーブルコインのUSDTで支払うということもあります。仮想通貨系VCの出資もUSDT建てが多いです。マイニングの収益が流入していることも多く、保有しているのが法定通貨ではなくステーブルコインだったりするからです。

 ただし税金はステーブルコインで払えないし、生活には仮想通貨は使えないので、その分は法定通貨に戻します。

 シンガポールはWeb3やブロックチェーンを優遇していますが、あくまでプロ向けという位置付け。世界に向けて仮想通貨ビジネスをやるのはウェルカムなんですが、一般向けにビジネスをやることはそこまで奨励されていません。広告の露出なども日本より厳しい規制があります。銀行口座の開設周りについても同様です。

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