「Pixel Watch」約4万円は高いか安いか Google初のスマートウォッチの実力は?(3/3 ページ)
米Googleから初のスマートウォッチ「Pixel Watch」が登場した。同社は、2019年にフィットネストラッカーで世界トップのFitbitを買収しており、Pixel Watchはそのテクノロジーを取り入れているという。買収から3年を経て投入されるスマートウォッチの出来栄えをチェックしてみた。
Fitbitの連携機能は?
ヘルスケアやアクティビティの管理は、Pixel Watchのアプリではなく、FitbitアプリにPixel Watchを追加するスタイルだ。Fitbitでは、アクティビティだけでなく睡眠スコア、歩数、消費カロリーを確認できる他、ストレス管理、食事の記録、水分摂取量の記録など、体調を維持するためのログを集約することができる。
睡眠スコアは、無料版でも十分詳しいデータを閲覧できるが、より高精度な分析が必要な場合は、有料のサブスクリプション「Fitbit Premium」に加入する必要がある。Pixel Watchを購入したユーザーは6カ月無料で使うことができるが、普段の健康管理に関していえば、通常のFitbitアプリでも十分満足だなと感じた。
ちょっと不可解なのが「Google Fit」である。これはFitbitとは別の、Googleオリジナルのアクティビティ管理アプリで、筆者は睡眠ログを枕元に置いたNest Hubで取得し、Google Fit上で管理している。Apple Watchのアクティビティデータも連携させている。しかし、現時点でPixel WatchはFitbitとの連携を優先しているようにみえる。
FitbitのデータをGoogle Fitに転送することは公式にはできず(サードパーティーのサービスを使えば可能)、Pixelエコシステムとして考えるとちぐはぐな印象を受ける。将来どちらかに統合されることになる可能性はあるが、Pixel Watch発売の時点で大まかな道筋を付けてほしかった印象だ。
3万9800円は安いか高いか
Google初のスマートウォッチだが、ところどころ詰めの甘さはあるものの十分な完成度はあると感じた。一方で日本へのローカライズに関しては、フルスペックのSuicaとすでにECGが日本で使えるApple Watchと比べると、いまひとつというのが正直なところ。
モノは良いだけに惜しいと感じるが、ローカライズにもコストが掛かる。鶏と卵ではないが、ユーザーが増えないとローカライズにコストは掛けられないし、ローカライズが十分でなければそもそもユーザーは振り向いてくれない。
Pixel Watchの価格は3万9800円。Apple Watch Series 8のアルミは5万9800円、ステンレススチールは10万4800円で、それらと比べると安価に思えるが、ECGや常時点灯がないものの、Apple Payなど大半の機能が使えるSEが3万7800円であることを考えると、なかなか絶妙な価格設定といえる。
というのも、Pixel Watchは米国だと349ドルで販売されているからだ。税別で揃えるとPixel Watchの日本価格は3万6181円。1ドル約104円で価格が設定されていることになる。現在の大幅円安下からすると赤字にならないか心配なレベルだ。
米Googleの経営陣によると、この価格付けは「競合環境とPixel Watchに搭載するすべての機能を考慮し、それらの要因に応じて価格を設定した。考慮しなければならないもう1つの要因である外国為替についても、為替の動向に応じて価格を設定した」と説明している。競合製品と比べると、日本向けのPixel Watchには今のところ一部機能で制限があるため、まずは価格を抑えて訴求する方針なのだろう。
日本は、Pixelスマートフォンにとって巨大市場の1つであり、戦略的な値付けで攻勢をかけている。Pixel Watchは、Pixelエコシステムを構築するウェアラブルの要だが、日本では完璧なローカライズを実現したApple Watchという巨大な敵が待ち構えている。3万9800円とはいえ、日本の消費者に振り向いてもらうには、Pixel Watchならではの利便性をアピールしていかなければならない。
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