資金調達“冬の時代“に登場、初期スタートアップを支援するSaaS VCとのマッチングも
現在は株式市場が冷え込みIPO評価額も落ち込んだことで、資金調達を目指すスタートアップにとっては冬の時代といわれる。そんな中、主にシードからシリーズBといった初期のスタートアップを支援するSaaS「StartPass」が登場した。
現在は株式市場が冷え込みIPO評価額も落ち込んだことで、資金調達を目指すスタートアップにとっては冬の時代といわれる。そんな中、主にシードからシリーズBといった初期のスタートアップを支援するSaaS「StartPass」が登場した。
StartPassは連続起業家の小原聖誉氏が運営するSaaS。複数のスタートアップ運営と、エンジェル投資という自身の体験に基づき、初期のスタートアップが必要とするサービスをワンストップで提供することを目指した。これまでSlackなどをコミュニケーション手段として使ってきたが、今回正式版をリリース。Web内でコミュニケーションも完結するようになった。
最大の特徴は、国内のベンチャーキャピタル(VC)と登録スタートアップとのマッチングだ。「Global Brain」「GLOBIS CAPITAL PARTNERS(GCP)」「ANOBAKA」「Coral Capital」など150以上の国内有力VCが参画しており、StartPassを通じてVCとの面談が可能だ。投資金額ベースで国内VCの半分くらいにアプローチできる。
「スタートアップのいろいろな情報を収集し、VCの得意領域と重なりが大きいところを紹介することで、確度の高い出資オファーを出せる。資金調達の工数を削減できることが大きい」(小原氏)
さらに11月1日には、借り入れの支援を行うINQを買収し、融資による資金調達もサポートする。「資金調達冬の時代といわれる中、エクイティ(株式)だけでなくデット(融資)にもある程度コミットしていきたい」と小原氏。
そのほかにも、AWS、クラウド会計、商標出願、登記申請・変更、法人クレジットカード、資金調達準備ツール、ノーコードツールなど90以上のサービスについて、無料利用期間や割引などの特典を用意した。
また、スタートアップの各ステージごとの悩みを解決するコンテンツを動画などで提供する。「2億円を調達した経験のあるスタートアップのクローズド動画を、実際の投資家向けプレゼン資料を交えながら閲覧できる」(小原氏)
これまでFacebookグループとSlackを使ってサービスを提供していたが、5月のベータ版提供以来、有償契約したスタートアップは398社にのぼる。政府のスタートアップ推進施策を追い風に、SaaS化することでさらに支援先を拡大する考えだ。「3年後には、1200社のエクイティ調達に関与したい」(小原氏)
関連記事
- Web3起業家はなぜシンガポールに向かうのか?
このところ、ブロックチェーン関連の起業家、今風の言葉でいえばWeb3起業家の日本脱出がしばしば言われる。その向かい先はどこかといえば、シンガポールだ。彼らはなぜ日本を脱出してシンガポールに向かうのか? - バブルはもう終わり? SaaSスタートアップがいま知りたい資金調達の基礎知識 新局面の戦い方は
拡大が続くSaaS市場。今から参入したいスタートアップが、資金調達する上で気を付けるべき点とは。ヤプリCFOへの取材から探る。 - 円安でも安くAWSを使う方法 SaaSスタートアップが弾き出した意外な試算
急激に進む円安。その影響は、AWSなどクラウドサービスの利用料金という形でもIT業界に波及している。コスト節約にはどんな工夫が必要か。コストのコントロールに取り組むアンドパッドに聞く。 - 「本当はもっと大型の資金調達を予定していた」 45億円集めたoVice経営層が明かすファイナンスの裏側 “SaaSバブル崩壊”の影響は
8月に45億円の資金調達を果たしたoVice。しかし経営陣によれば、本来はもっと大型の調達を見込んでいたという。規模縮小の背景には“SaaSバブル崩壊”と国際情勢の影響があった。調達までの道のりをCEOとCFOが振り返る。 - 法務向けSaaSのLegalForceが137億円の資金調達へ 採用・営業など強化
法務向けSaaSを提供するスタートアップのLegalForceが、137億円の資金を調達すると発表した。引受先は米Goldman Sachsなど。資金は営業活動や採用、サービス開発の強化に充てるという。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.