“出資したい側”が情報掲載してスタートアップとマッチング M&Aクラウドが資金調達プラットフォームを始めるワケ(1/2 ページ)
スタートアップに出資したい大手IT企業などが情報を掲載し、それらを見てスタートアップが出資を依頼する仕組みの「資金調達Cloud」スタート。
スタートアップが出資を受けようとしたら、知人などのコネをたどるのが普通だった。しかし、それもクラウド時代において変わるかもしない。M&Aのマッチングプラットフォームを運営するM&Aクラウド(東京都新宿区)は11月1日、スタートアップ向けに資金調達を支援する「資金調達Cloud」の提供を開始した。
スタートアップに出資したい大手IT企業などが情報を掲載し、それらを見てスタートアップが出資を依頼する仕組み。スタートアップ側の手数料は完全無料とし、大手IT企業から情報掲載料を取るモデルだ。単に資金調達をアレンジするだけでなく、事業シナジーを生み出すマッチングを特徴とする。
「バリュエーション重視のモデルからシナジーありきのモデルへと変わってきている」。M&Aクラウドの及川厚博CEOは、スタートアップへの出資状況の変化をこう話す。株式市場の低迷により、IPOを前提とする企業評価額は現在低くなりがちだ。そのため、ベンチャーキャピタル(VC)からの出資は非常に厳しい状況にある。
一方で事業会社では、外部にイノベーションの種を求めるオープンイノベーションが活発化している。スタートアップへの協業や出資を目的としたアクセラレータープログラムも花盛りだ。さらに事業会社が自己資金でファンドを組成し、スタートアップに投資するコーポレート・ベンチャー・キャピタル(CVC)も増加している。
しかし「アクセラレータープログラムなどでは、時間も費用もかかるが、なかなか投資につながらない」と及川氏は言う。事業提携ニーズは満たせるものの、出資へのハードルは高いのが実情だ。他方、CVCについても、事業会社の組織の本流とは離れたところで運営されている場合が多く、出資は行うものの提携など事業シナジーを生み出す部分に難があった。
資金調達Cloudでは、CFOなど事業会社の役員などが登録しており、事業提携を前提とした出資の両方を満たすアレンジが行えるのが特徴だ。
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