連載
アリババ「独身の日セール」、初の「GMV非公表」の理由 〜海外メディアは「数字ないと報道できない」と困惑:浦上早苗の中国式ニューエコノミー(1/5 ページ)
中国の消費の勢いを体現してきたアリババグループのECセール「独身の日(別名ダブルイレブン)」が、開始以来初めてGMVの非公表を決め、波紋を広げている。なぜGMVが非公表となったのか。アリババにターニングポイントが訪れたのは20年だ。
世界の著名ブランドが1分で10億円の売り上げをたたき出し、派手なカウントダウンイベントで空前絶後のGMV(流通総額)を発表する──。中国の消費の勢いを体現してきたアリババグループのECセール「独身の日(別名ダブルイレブン)」が、2009年の開始以来初めてGMVの非公表を決め、波紋を広げている。
セール当日の11月11日にGMVを速報してきた日本メディアは「数字がなければニュースにならない」と困惑しているが、アリババにとっては、世界中から期待されていた「記録の更新」という十字架をようやく降ろしたというところだろうか。
20年の「独身の日セール」のGMV発表の様子。21年にはこのような華やかな発表が行われなくなり、今年はついにGMVが非公表となった(出典:アリババグループ、天猫ダブルイレブンで過去最高の流通総額7兆円超を達成)
関連記事
- 取扱額8兆円! 「独身の日」セールでアクセス急増、Alibabaが取り組む“サイトが落ちない”工夫とは?
中国で毎年恒例の「独身の日」セール。毎年すさまじい規模のアクセスや売り上げがあるが、大手のAlibaba Groupは、自社の「Alibaba Cloud」などを活用してトラフィックを効率よくさばいている。AIやロボットを活用した取り組みも進めている。 - SBG孫社長、失踪報道のジャック・マー氏とは「個人的な趣味の話をしている」
ソフトバンクグループの孫正義会長兼社長は、失踪報道のある中国Alibaba創業者のジャック・マー氏と連絡を取り続けていることを明かした。 - 仮想通貨禁止する政府、位置づけはグレーゾーン<中国NFTマーケット事情・前編>
Facebookが社名を「Meta」に変更して1年が経過した。この変化に中国のIT・金融界隈は敏感に反応し、企業が発行するNFTは奪い合いとなった。ただ、中国は「ブロックチェーン技術は推奨」で「仮想通貨は全面禁止」という政策を導入している。非常にあいまいな中国のNFTマーケットの現状を紹介する。 - 「バブルの終焉!?」市場が動揺したテンセントNFT取引所の閉鎖<中国NFTマーケット事情・後編>
2021年に中国で発行されたNFTは456万点、発行総額は約30億円。26年には市場規模が約6000億円に達するとの試算もある。成長を予感させるNFTマーケットだが、テンセントが8月にマーケットプレイスの閉鎖を発表。「ブームの終焉」が危惧されるなか、業界標準を制定する動きも出てきた。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.