動画も音楽もゲームも 広がるAIエンターテインメントの可能性:清水亮の「世界を変えるAI」(4/5 ページ)
Stable Deffusionのオープンソース公開以後、画像生成にとどまらず、AIを使ったさまざまなユースケースが登場している。動画制作や音楽制作のみならず、ゲームや新しいタイプの遊びなどへの発展も。
音楽生成も可能になったDiffusers
冒頭に紹介した最新のDiffusers 0.7以降では、音楽生成を実現するDance Diffusionに対応した。ただし、Dance Diffusionはまだバージョンが非常に若く、持っている機能も、曲をなんとなく生成したり、2つの曲を混ぜ合わせたりといった原始的なものしかない。
曲生成に関してはDiffusers以外にも、任意の音楽を学習して、そのバリエーションを自動的に生み出すMUSIKA、任意のテキストタグから自動作曲するMubertなどが登場している。
また、昨年登場したOpenAI Jukeboxも、同様の目的で作られた楽曲生成AIだと言えるだろう。
MUSIKAもOpenAI Jukeboxも、生み出されるのは単なる旋律ではなく、ボーカルめいたものも入った完全な音源である。まだ音質がいいとはいえないが、一年前の画像生成AIもお世辞にも画質がいいとはいえなかったことを考えると、もはや時間の問題だろう。
筆者はもともとそれなりに音楽が好きだったが、新曲を探すのにいつも苦労している。アーティストで選んでも全ての曲が自分のツボに入るとは限らず、似た傾向のジャンルで探しても心をつかまれるような曲に出会えることは滅多にない。特に、最近ピュアオーディオに凝り始めてからは、さらに楽曲の方向性だけでなくミックスダウンのクオリティや方向性も気になるようになってしまい、気に入った音源に出会える確率はさらに減った。
結局、それが「音」という非常に言語化しにくいものを題材としているので、経験と勘を頼りに、好みの音源に巡り合うその日を信じていろいろな曲を聴くしかない。
しかし、AIが音楽……というよりも音源を生成するようになれば、自分の好みをより的確に反映した、場合によっては、その日その時の気分に合わせた楽曲を自動作曲してくれる日が来るかもしれない。
誰かにとっての「思い出の一曲」が、実はAIがその瞬間に作った「その日その時、その場所にいた人だけが聞いた曲」になる日も近いのだ。
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