動画も音楽もゲームも 広がるAIエンターテインメントの可能性:清水亮の「世界を変えるAI」(3/5 ページ)
Stable Deffusionのオープンソース公開以後、画像生成にとどまらず、AIを使ったさまざまなユースケースが登場している。動画制作や音楽制作のみならず、ゲームや新しいタイプの遊びなどへの発展も。
AIによる意外な写真がプレイヤーを苦しめる「AIパワポカラオケ」
パワーポイント、いわゆるパワポは、ビジネスマンにはお馴染みのプレゼンテーションツールだが、口の悪い若手などに言わせると、あれは若手が必死で汗をかいて作った綺麗な資料(パワポ)を、偉い人がさも自分が考えたかのように喋る、「カラオケの一種」である。
そこで、自分たちも誰か知らない他人の書いた先の見えないパワポを、あたかも自分で考えたプレゼンのようにやってのけてみようではないかというノリで始まったのが「パワポカラオケ」という遊びである。コロナ前にはだいぶ盛り上がっていたのだが、コロナでカラオケが自粛されると同時にパワポカラオケも自粛の波が来ていた。
パワポカラオケは、あらかじめ主催者がランダムに選んだ5枚の写真と、ランダムなお題でプレゼンターに無茶振りをする。到底つながるとは思えない写真を見て苦しむプレゼンターを見て楽しむのも醍醐味の1つだ。
ところが本家パワポカラオケには致命的な弱点があって、主催者はあらかじめ5枚の画像を用意しておかなければならない上に、ランダムに並べなければならない。面白くしようとすると主催者の手間が半端なくかかってしまう。
そこで筆者が開発したのが、ランダムなお題をもとにAIが勝手に5枚の画像を生成する「AIパワポカラオケ」だ。与えられたランダムなお題から、AIがストーリーを考え出し、さらに最初の数枚のスライドを読み上げる文章を音声認識して、後半のスライドを生成する仕組みになっている。
このため、ある程度はお題に沿った統一感のある写真が生成されつつも、意外な組み合わせや、やはりプレゼンターが頭を抱える場面に出くわすなど、ナンセンスな面白さに溢れている。さらに主催者は準備が一切必要ないので何度でも繰り返しできる上、一人でプレイする「ひとりAIパワポカラオケ」さえも可能になる。
実際、ニッポン放送の吉田尚記アナウンサー扮するVTuber「一翔剣」がYouTube番組でひとりAIパワポカラオケを披露して大いに盛り上がっていた。AIを使ったこういう遊びは、もっと発展するとさらに思わぬ効果を生むのかもしれない。
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