インボイス問題、声優が語る“陳情”のリアル 「超塩対応」の議員と涙のバトルも(3/5 ページ)
「陳情をしっかり聞いて下さる議員さんも多いのですが、“超塩対応”の議員さんもいて……。そういう方が、インボイス制度を左右するキーマンなんです」。インボイスに反対する声優団体・VOICTIONの涙のバトル。
FAXによる効果が見えたのは、和田義明・内閣府副大臣への陳情だ。議員会館で和田議員に資料を渡したところ、「FAXをくれた人?」と応対してくれ、その後の陳情につながったという。
「議員はペラいち、表裏の資料しか見ない」とも聞き、エンタメ各業界のアンケート結果をまとめた1枚だけの資料も用意した。
「私たちのプリンタが火を噴いた」と、福宮さんは笑う。毎日のように資料を配りまくったため、いくらプリントしてもすぐになくなる。家庭用のプリンタでは間に合わず、印刷所に発注して500部ほど印刷したという。
変わってきた風向き
インボイス反対を訴える個人が主催した大きなイベントも開かれた。VOICTIONとともに活動してきた団体「STOP!インボイス」による「日比谷MEETING」だ。
STOP!インボイス主催者でライターの小泉なつみさんが、個人で日比谷野外音楽堂を借りて実現。VOICTIONのメンバーも登壇した他、アニメ・演劇業界の団体や著名人が参加し、約1200人が集まる一大イベントになった。野党の議員は来てくれたが、自民党の議員は来なかった。
11月16日には、漫画・アニメ・演劇・声優の4団体合同で記者会見を実施。このころから、世論の風向きや政治家の態度が変わり、与党議員と接触できる機会も増えてきた。
「以前の事務所回りで資料を渡したら『いきなり資料を渡すなんて失礼だ』と怒られた秘書さんから、『お話を聞きますよ』と連絡が来たりしました」(咲野さん)
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