AI契約書レビューはどこまで使える? 法務SaaS完全理解マニュアル LegalForce&GVA assist編:リーガルテック最前線(2/3 ページ)
今回はAI契約書レビューについて取り上げる。AI契約書レビューシステムに関して「違法の可能性がある」という見解が示されたことを受け、一部報道においてはまるで違反であるかのような伝え方がなされた。この点も今回解説していく。
LegalForce
LegalOn Technologies社(LegalForceから22年12月1日に社名を変更)が提供するLegalForceは、大手企業の法務部を中心に導入が進んでいるAI契約書審査プラットフォームである。導入社数は2500社を突破し、国内ナンバーワンの導入実績を誇っている。
LegalForceが支持されているのは、AI契約審査機能に加えて、締結から修正・交渉過程などのナレッジの蓄積、法務への依頼の一元管理、締結後に保管する「LegalForceキャビネ」などの契約書の締結に関する一連の機能が優れたUXで提供されているからである。
現段階ではAIの精度では差別化が難しいため、多忙な法務担当者が抱える業務を少しでも軽くするためには、契約審査にかかわる一連の業務を一気通貫してサポートしてくれるツールが必要なのである。
後述のGVA assistが比較的小さな企業もターゲットにしているのに対して、LegalForceの機能は中堅規模以上の企業の法務チームを念頭に置いているようだ。社内から法務に回覧される大量の契約書をいかに見落としや抜け漏れなどを防止しつつ、効率的に処理するか、そして法務のナレッジを属人化させずにチーム全体で共有しつつ、蓄積していくか。そういった法務が抱えていた課題にしっかりと向き合った上で、開発されたプロダクトである。
法務担当者は機械的に契約書のレビューだけをしているわけではない。契約書のレビューにおける差異の抽出や比較は業務の一部に過ぎず、事業内容や相手方の情報、ビジネス的な判断を踏まえたリスク判定やアドバイス、事業上必要なスキームの検討など法務担当者の役割は多岐にわたる。
現代の企業法務の課題は、NDAなどの定型的な契約書のレビュー作業に忙殺されてしまい、本来やるべき仕事に向き合えていないことや、過去の情報などが整理されずに放置されていることである。
LegalForceを導入することで法務担当者の人数が減ることはないだろうが、業務は確実に効率化される。契約書のレビューに時間がかかっていたり、レビューの精度が落ちているなどの課題を抱えている企業は導入を検討するべきプロダクトである。
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