国産AIはなぜ炎上する? 「mimic」開発元に反省点を聞いた 海外産AIは平常運転、待つのは“日本1人負け”か(3/3 ページ)
2022年、画像生成AIが大きな注目を集めた。「Midjourney」など海外産AIの多くは受け入れられた一方、「mimic」や「クリスタ」では炎上し、停止に追い込まれる事態が続いた。なぜこのような事態になってしまったのか? 画像生成AIと2022年を振り返る。
AIはクリエイターの仕事を奪うのか?
画像生成AIが次々と登場していく中、一部では「AIがクリエイターの仕事を奪っていくのではないか」と懸念する声も聞こえている。これに対して菅原氏は「現状ではAIはクリエイターの仕事を奪わないのではないか」と私見を述べる。
「イラストレーターの仕事にはクライアントがいて、その思惑に応えていく必要がある。それに対して今のAIが完璧に応えられるかというと、そうではないと思う。何かアウトプットを出すことはできるが、仕事としては応えられない。そういう意味でイラストレーターの仕事を奪うことにはならないと思う」
ただイラストレーターの中で、AIを使う人が使わない人の仕事を奪う可能性は考えられるという。例えば「Photoshop」の機能を使い、背景の処理をAIに任せている人がいるとする。それと自身の手を使って書く人とでは作業効率が変わっていく。このように作品を完成させるための手段にAIを取り入れる人たちが今後増えていく可能性はあるという。
「AIとプロ棋士が将棋で戦う電王戦で、AIが人間に対戦成績で勝つことができたのが12年。そこから10年がたち、今ではAIを使って将棋の研究に取り組むプロ棋士も多い。画像生成AIは議論が始まったばかりでさまざまな意見があると思う。AIとの共存、もしくは別離か。さまざまな未来を選べるタイミングが今なのだと思う」
ラディウス・ファイブでは、23年もmimicのアップデートを続けていく。炎上後に機能改修したβ版2.0はユーザーからもおおむね好評であり、さまざまな要望も届いているという。どのような機能を追加していくのかは、ユーザーの要望に寄り添いつつ、慎重に決める方針だ。
「新しいテクノロジーが世界をどのように変えていくのか。このことについてもっと多くの人と議論ができる状態になるとうれしい。産業革命により工場という概念が生まれたように、テクノロジーはこれまで何度も社会を大きく変えてきた。そのいずれにも良しあしがあったと思うので、進歩するAI技術も多くの人が納得する形で浸透していくことを目指したい」(菅原氏)
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