ARコンタクトレンズのMojo Vision、資金不足で開発停止 マイクロLEDにピボット
ARで視界に情報を表示するスマートコンタクトレンズを開発中のMojo Visionが開発を保留すると発表した。資金調達が困難になったため。従業員の75%を削減し、マイクロLEDディスプレイにピボットする。
視界に情報を表示するマイクロLEDディスプレイ内蔵のARコンタクトレンズ「Mojo Lens」を開発中の米新興企業Mojo Visionは1月6日(現地時間)、開発を保留し、従業員の約75%を削減すると発表した。世界経済の低迷で、資金調達が困難になったため。
Mojo Visionは2015年創業で、Google(Gradient Ventures)、HP Tech Ventures、Motorola Solutions、LG Electronicsなどが出資している。2020年1月、“世界初の真のスマートコンタクトレンズ”としてMojo Lensを発表した。
事業をピボット(方向転換)し、Mojo Lensのために開発してきたマイクロLED技術にフォーカスする。
「(同社のマイクロLEDディスプレイ)Mojo Vision 14K PPIは、次世代のウェアラブルから未来のテレビやビデオウォールに至るまで、多様な用途に使える。マイクロLEDは1600億ドル規模のディスプレイ市場に革新をもたらすと確信している」とドリュー・パーキンスCEOは語った。
マイクロLEDディスプレイは、薄いディスプレイを実現できるだけでなく、色域の広さや消費電力の低さ、寿命の長さなどがメリットとされている。現在、ソニー、LG Electronics、Samsung Displayなどが開発している。Googleも昨年、マイクロLED技術を手掛ける企業を買収した。
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