医師が診察をスマホアプリで生配信 1時間半以上気付かず 病院は謝罪、医師は依願退職
埼玉県のこうのす共生病院は、同院の医師が診察時の音声をスマートフォンアプリで生配信していたと発表した。診察時の会話が1時間半以上配信され、患者の氏名などの個人情報が含まれていた。
こうのす共生病院(埼玉県鴻巣市)は1月16日、同院の医師が診察時の音声をスマートフォンアプリで生配信していたと発表した。診察時の会話音声が1時間半以上配信され、患者の氏名などの個人情報が含まれていた。該当の医師は故意ではないとしているが、1月15日付で依願退職したという。
診察が配信されてしまったのは7日。動画ライブ配信サービス「ツイキャス」を通して、同日午後1時19分から午後2時56分まで診察時の音声が配信されていたという。救急外来診察や発熱外来の診察時の会話などが配信され、患者8人の氏名(うち1人は生年月日含む)などの個人情報が含まれていた。
スマートフォンは医師が私用で使用していたものだった。医師は「休憩中に私用のスマホの動画配信アプリを起動したまま眠ってしまった。救急車の受け入れ要請の電話で目が覚めたが、アプリが起動中であることに気付かず、そのスマホをポケットに入れた状態で診察を行ったため、誤って診察時の会話音声が配信されてしまった」「個人情報の流出という重大な結果を生じさせたことを深く反省している」と述べているという。
同院は「医師が意図的に音声情報を流出させたと断定することは困難ではあるものの、患者の個人情報の流出という極めて深刻な結果が生じている以上、当該医師の過失責任は重大である」と説明。15日付で出勤停止2カ月間の懲戒処分を科したが、医師は責任をとりたいとして同日付けで依願退職した。
同院はこの件について「多大なご心配とご迷惑をおかけしましたことを重ねて深くおわび申し上げます」と謝罪。個人情報を流出してしまった患者8人には個別に謝罪したという。今後は、院内の就業規則や再発防止策を周知徹底するとしている。
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