バックオフィスSaaSは守りから攻めへ 変化の要因は? 「Bill One」急成長の2つのポイント(1/2 ページ)
企業のバックオフィス業務にSaaS導入が加速している。「変わったな、と思う瞬間があった」とBill Oneの大西勝也執行役員
企業のバックオフィス業務にSaaS導入が加速している。「変わったな、と思う瞬間があった」。そう話すのは、インボイス管理SaaS「Bill One」を提供するSansanの大西勝也執行役員だ。
Bill Oneは、紙やPDFなどさまざまな形式で届く請求書を一元管理して、デジタル化するサービスだ。2020年5月のスタートから、2年半でARR(経常収益)21億円へと急成長した。立ち上がりの速さは、同社基幹事業の名刺管理サービス「Sansan」を超える。
大西氏は急成長の背景として、外的な要因と内的な要因があるという。
外的な要因の1つは法改正だ。10月に控えるインボイス制度、2年間の宥恕(ゆうじょ)期間を経て24年1月に本格的にスタートする電子帳簿保存法など、紙が中心だった経理業務にデジタル化の風が吹いている。
しかし企業は法改正のためにイヤイヤ対応を進めているわけではない。「法対応だけを目的に導入する企業が多いかと言うとそうでもない。あくまできっかけ。企業としての生産性をどう上げるかにフォーカスしている」と大西氏は言う。
それまで、絶対に失敗できず止められないため、変えたくないという思いが強かったのが経理などのバックオフィス業務だ。いわゆる守りの分野で、これまで問題なくやってきた業務をあえて変えようというモチベーションは低かった。
ところがこの数年で企業内でのマインドが変わってきた。デジタル化されておらず紙を扱うがゆえに、コロナ禍でもリモートワークができないことも浮き彫りになった。さらに少子高齢化による人手不足から、省力化ニーズも顕在化した。変えないことが安心なのではなく、効率化して生産性を上げることが重要だと変わってきたのだ。
こうした外部要因の変化によって、多くのバックオフィスSaaSが注目を浴びた。その結果、会計、電子契約などに続き、請求書関連のSaaSが急速に伸びてきている。
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