画像の透かしを消せるAIサービスが物議 「悪用以外のニーズがどれぐらいあるのか」など疑問の声
インドの企業が画像のウォーターマーク(透かし文字)を削除するAIサービスを発表し、ネット上で物議を醸している。開発元の企業は「商業利用する場合は、事前に画像の所有者に同意を求めてほしい」と説明しているが、世界中のユーザーから疑問を呈する声が上がっている。
インドの企業が画像のウォーターマーク(透かし文字)を削除するAIサービスを発表し、ネット上で物議を醸している。一部の機能は無償公開しており、誰でもWebブラウザから利用できる。開発した企業は「商業利用する場合は、事前に画像の所有者に同意を求めてほしい」と説明しているが、世界中のユーザーから厳しい声が上がっている。
インドのソフトウェアベンダー、PixelBinがリリースした「WatermarkRemover.io」はAIを利用し、画像の透かし文字などを削除できるサービスだ。2400×2400ピクセル以下のPNG、JPG、WebPなどに対応している。Webサービスの他、Androidスマートフォン向けアプリも提供中。無料プランでは45クレジット分まで使うことが可能だ。
Webサイト内には透かし入りの画像と、削除した画像の比較などを掲載。透かしの位置や色を特定し画像と分離、透かしのあった位置に背景画像を合成する……この一連の作業工程をAIが数秒で行うという。記者も自身で用意した画像に透かしを入れ、同サービスを利用してみたところ、確かに透かしを簡単に消すことができた。
Webサイト内のFAQでは「Is it illegal to remove watermark from images?」(透かしを消すことは違法ですか?)という問いに対し、「商業利用を目的とした画像では透かし除去は行わないことをお勧めする。透かしを除去した画像を商業利用する場合は、事前にオリジナル画像の所有者に許可を得る必要がある。ユーザーが訴訟された場合、当社は責任を負わない」などと記載している。
このサービスに対し、デザイナーを名乗る海外のTwitterユーザーは「もう本当に分からない。私たちはどこに向かっているんだ?」とTwitter上で疑問を投げかけている他、国内のネットユーザーからも「悪用以外のニーズがどれぐらいあるのだろう」「これはさすがにマズいだろ」「世の中はどうなってしまうんだろう」などサービスに疑問を呈する声が相次いだ。
PixelBinはミッションやビジョンとして「私たちは、組織や個人がデザインや写真のビジネス利用全般を見直す手助けをし、ユーザーがAI時代に一流の製品をつくるためにサポートできるAPIを提供する」「私たちは、全てのデザイナーが何の心配もなく素晴らしい画像を作成できるよう支援するためにここにいる」などを掲げている。
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