「PayPay」と「LINE Pay」の統合は来るか? “ZHD大合併”で注目すべき2つのポイント(2/2 ページ)
Zホールディングスと傘下のヤフー、LINEの3社が合併することが決まった。今回の決定によって両社サービスの今後に改めて注目が集まることになったが、今回はそのうち「PayPay」と「LINE Pay」に話を絞って解説したい。
課題はLINE Pay独自のサービスをどうPayPayに寄せていくか
とはいえ、合併後は実質的に同じ企業内で2つの決済サービスが併存することになり、経営効率の面でマイナスなのは確かだ。
LINE Pay用QRコードのPayPayへの統一が進んで以降、店舗決済でLINE Payのコード決済が利用されるケースは激減している。PayPayでの取引として扱われることにも由来すると思われるが、2020年以前にはコード決済の分野でLINE Payのシェアは上位3〜4位には含まれていたものが、コード統一が行われた2021年以降はほぼランキング圏外となり、存在感を消失している。
ただ現状で「Visa LINE Payクレジットカード/プリペイドカード」といった支払い手段があるほか、比較的好調なキャッシングサービスである「LINEポケットマネー」など、LINE Payと連携する周辺サービスがいくつか存在する。クレジットカード事業自体はPayPayカードとバッティングする存在だが、すでに一定層のユーザーがおり、すぐのタイミングでの統合は難しい。
この他、若年層など新規ユーザー開拓を目指した「LINE Bank」という銀行事業が準備中で、こちらは合併後の整理対象にはならないことが現時点で明言されている。対象となるのはLINEを利用する層で、LINE Payとの連携はある程度考慮されたものになると考えられる。
このように、店舗決済におけるLINE Payのコード決済の存在感は薄まっても、それに紐付く独自サービスは現状のPayPayには見られないものもあり、今後の統合の中でこれらをどうやってPayPayに寄せていくかが大きな課題となる。まだ少し先の話となるが、このあたりの話は方針が決定しだい、順次どのような扱いがなされるか合併後の新会社から発表されることになるだろう。
関連記事
- ヤフーとLINE、ZHDが合併へ シナジー加速、サービス連携強化と統廃合進める
Zホールディングス(ZHD)と同社傘下のヤフー、LINEの3社で合併を決議したと発表した。2023年度中に実施予定で、経営統合によるシナジーの拡大を加速させるとしている。 - 「LINE PayがPayPayに吸収される」は誤解 LINE Payはどこへ向かう?
LINEとZホールディングス(ZHD)の経営統合によって、広く伝わったのは「LINE PayとPayPayが統合する」という話だ。これはLINE PayがPayPayに吸収されて一本化するというイメージを持つ。しかし、これは実態とは異なる誤解だとLINE Payは言う。 - LINE Payのコード決済に再度フォーカス 新LINEクレカが5%還元に踏み切った理由
LINEクレカの新ラインアップ「LINEクレカ(P+)」は、LINE Payとひも付けて使うと、決済額の5%を還元するというカードだ。新LINEクレカが5%還元に踏み切った理由は? - ZHDが販促市場に本腰 特定の商品を“買えば買うほど”お得になる「LINE・Yahoo・PayPayマイレージ」
Zホールディングス(HD)が広告市場の2倍ともいわれる販促市場の開拓に本腰を入れる。メーカーが販促目的で利用できる「LINE・Yahoo!JAPAN・PayPayマイレージ」サービスを2023年春から提供。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.