Apple減収減益でもiPhoneシェア拡大、「全員敗者のスマートフォン市場」:浦上早苗の中国式ニューエコノミー(5/5 ページ)
22年はグローバルでのスマートフォン販売台数が、過去10年で最低水準となった。また10〜12月期は強者Appleも減収減益となったが、グローバルでのシェアを伸ばしている。なぜだろうか。背景を紹介する。
中国と欧州では折りたたみスマートフォンが拡大
ハイエンド市場でiPhoneに対抗するためAndroid端末メーカーが力を入れているのが、19年にSamsungやHuaweiが製品を発売し、市場が生まれた折りたたみスマートフォンだ。
現状では価格が非常に高くニッチの域を出ていないが、Counterpointは23年の出荷台数が前年比52%増の2270万台に達し、端末価格1000ドル(約13万円)超のハイエンド市場で2桁のシェアを獲得すると予測する。
Counterpointは2023年の折りたたみスマートフォン出荷台数が2270万台に増えると予測する(出典:Counterpoint、Global Foldable Market Expected to Grow 52% YoY in 2023)
今年から来年にかけての有望市場は中国と欧州で、Samsungは中国に、中国メーカーは欧州に照準を当て新商品を投入する計画だ。Huaweiがスマートフォン市場から脱落したあとハイエンドシェアを取れずAppleに押されっぱなしの中国メーカーにとっては、起死回生を狙う市場になる。
ただ、折りたたみスマートフォンではSamsungが既にマーケットリーダーの地位を固めつつある。
Canalysは23年のスマートフォン市場が前年並みか微増にとどまると予想しており、「AppleとSamsungはハイエンド製品の優位性により、不確実性を乗り切るのに有利な立場にある」と指摘した。
筆者:浦上 早苗
早稲田大学政治経済学部卒。西日本新聞社を経て、中国・大連に国費博士留学および少数民族向けの大学で講師。2016年夏以降東京で、執筆、翻訳、教育などを行う。法政大学MBA兼任講師(コミュニケーション・マネジメント)。帰国して日本語教師と通訳案内士の資格も取得。
最新刊は、「新型コロナ VS 中国14億人」(小学館新書)。twitter:sanadi37。
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