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ミリ波を“折り曲げ”てエリア拡大 ドコモの「透過型メタサーフェス」:房野麻子「モバイル新時代」(1/2 ページ)
docomo Open House’23では、扱いにくいとされるミリ波(28GHz帯)の電波を届けるアンテナや、屋内の電波を屋外の建物の足元に届けるフィルムなど、一見地味ながらもユニークな技術が展示
NTTドコモの研究開発や最新技術を活用したソリューションなど、幅広い取り組みを紹介する「docomo Open House’23」が、2月28日までオンラインで開催されている。
扱いにくいミリ波の電波を届ける技術
docomo Open House’23では、扱いにくいとされるミリ波(28GHz帯)の電波を届けるアンテナや、屋内の電波を屋外の建物の足元に届けるフィルムなど、一見地味ながらもユニークな技術が展示されていた。
横浜国立大学、日本電業工作、富士通と共同で開発した5Gマルチセクタアンテナ屋内基地局装置は、360度全方向の空間を複数(マルチ)のエリア(セクタ)に分け、1つのアンテナからそれぞれのセクタに対し、同時かつ独立に電波を送受信する。アンテナは、指向性アンテナ素子を放射状に12素子配置しており、テレビ放送などで用いられる八木・宇田アンテナを高い周波数帯に応用したものだ。
現在、屋内で高い周波数帯の電波で全方向をエリア化するには、平面アレーアンテナを複数用いる必要がある。ソフトウェアで電波を細かくコントロールするので回路規模が大きく、消費電力や設置面で課題があるという。
5Gマルチセクタアンテナ屋内基地局装置については、アンテナ部分の回路実装で難しい部分はあるものの、低コストでエリア構築が可能となるという。
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