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仕組みは単純、なのに魅力的 サンプラーの元祖「メロトロン」の愛おしさ、アプリまで自作した筆者が語る古代サンプラーがアプリになるまで(4/4 ページ)

実機を手に入れたことがきっかけで、約1年前にメロトロンアプリの開発を始めたが、22年10月に、iOS/iPad OS版、Android版ともに無事リリースできた。連載の最終回は、メロトロンという唯一無二の楽器が持つ魅力や逸話、そして、3Dプリントしたミニチュアモデルなどを紹介して連載の幕を引きたい。

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本格的なミニチュアモデルを購入してみた

 世界に目を広げればもっと本格的なミニチュアモデルを作成している人もいる。アルゼンチンのJuan Pablo Bobbera氏は、米国のハンドメイドのECサイト「Etsy」に「MycroG」ブランドでヴィンテージ鍵盤楽器のミニチュアモデルを多数出品している。

 その中にメロトロンがあったので購入してみた。各パーツを3Dプリンタで出力し、組み立てたもののようで、これが実によくできている。上蓋を外すと、中の構造までも再現しており、鍵盤部分やテープフレームも別パーツとして取り外すことができる。120ドルで販売しているのだが、採算が合うのだろうか。商売っ気抜きの趣味の世界のように思える。


よくできているMycroGのメロトロンミニチュアモデル。ガチャメロトロンと比較するとおおよそのスケール感が分かる。内部構造も再現されている

実機を体感できるイベントを開催

 最後に、2023年3月3日午後7時から開催するメロトロンの実機を前にしたリアルイベントの告知をしてこの連載を締めくくりたい。当日は、有識者によるトーク、実機の試奏体験、有名曲のミニライブなど盛りだくさんのメニューを予定している。

 その出自を見ると、ストリングスやフルートといった他の楽器の劣化版代替え楽器としてスタートしたメロトロンだが、デジタル全盛の現代においては、アナログの極致ゆえに、他に代替えが効かない独自の楽器として孤高の存在感を示すに至っている。そんなメロトロンにぜひ、一度は触れて欲しい。

著者プロフィール

山崎潤一郎

音楽制作業の傍らライターとしても活動。クラシックジャンルを中心に、多数のアルバム制作に携わる。Pure Sound Dogレコード主宰。ライターとしては、講談社、KADOKAWA、ソフトバンククリエイティブなどから多数の著書を上梓している。また、鍵盤楽器アプリ「Super Manetron」「Pocket Organ C3B3」「Alina String Ensemble」などの開発者。音楽趣味はプログレ。Twitter ID: @yamasakiTesla


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