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新番組「王様戦隊キングオージャー」の背景CGがハイクオリティーと話題に グリーンバックを使わない最新撮影技術とは?

テレビ朝日は3月5日、新番組「王様戦隊キングオージャー」の放送を始めた。その初回の放送を受けて、Twitterユーザーからは「背景CGのクオリティーが高すぎる」と驚きの声が上がっている。どのような撮影手法を使っているのか?

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 テレビ朝日は3月5日、新番組「王様戦隊キングオージャー」の放送を始めた。スーパー戦隊シリーズ最新作で、「5人の王様×昆虫ロボ」が人類滅亡をたくらむ強敵に立ち向かうストーリー。初回の放送を受けて、Twitterユーザーからは「背景CGのクオリティーが高すぎる」と驚きの声が上がっている。


テレビ朝日の公式Webサイトから引用

 同作には、工業の国「シュゴッダム」やITテクノロジーの国「ンコソパ」など5つの国が登場。それぞれに個性豊かな背景が使われており、“異世界ファンタジー”の世界観を描いている。第1話本編では、ほぼ全ての背景にCGが使われていたことなどから、視聴者からは「CGすごっ!!」「しっかりカッコいいしCGえげつない」「予算大丈夫?」などさまざまな感想が出た。


1話のワンシーン(1/4、東映の公式Webサイトから引用

1話のワンシーン(2/4)

1話のワンシーン(3/4)

1話のワンシーン(4/4)

 1話の監督を務めた上堀内佳寿也(@GKamihori)さんは自身のTwitterアカウントで「あと皆さん、予算の事は…気にすんな!笑」と反応していた。

グリーンバックを使わない撮影手法「バーチャルプロダクション」とは?

 同作を制作する東映は、撮影手法などについて公式Webサイトで解説している。キングオージャーでは、グリーンバックを背景に撮影し、その後CGを合成する従来の撮影方法に加え、「LEDウォール」と呼ばれる巨大なLEDパネルを利用した撮影技術「バーチャルプロダクション」も採用しているという。

 バーチャルプロダクション技術とは、仮想空間の背景と、俳優や小道具などの実物を同時に撮影して合成する手法。キングオージャーでは、LEDウォールに映像やCGを表示しながら撮影を行っているという。海外を中心に主流になりつつあるが「ここまで作品全体に使用されているのは国内初ではないか」と東映は説明している。


バーチャルプロダクション技術を使った撮影シーン(1/2)

バーチャルプロダクション技術を使った撮影シーン(2/2)

 東映は2022年10月、東京の撮影所に新しくバーチャルプロダクション部を発足。30(横)×5(縦)mのLEDウォールを設置した撮影スタジオの運用を1月に始めた。このスタジオには、今後5年間で約20億円を投資し、映像作品の制作工程に活用するという。映画配給会社が自前でLEDスタジオを保有・運用するのは国内初としている。


東映は22年10月にバーチャルプロダクション部を発足した

 キングオージャーは東映のLEDスタジオに加え、バーチャルプロダクション技術での撮影に対応したソニーPCLの撮影スタジオ「清澄白河BASE」でも撮影しているという。

 東映は、バーチャルプロダクション技術にはさまざまなメリットがあると説明する。例えばグリーンバック利用時には、撮影後にクロマキー合成が必要だが、LEDウォール撮影では不要になる。そのため撮影後の制作工程が大幅に省略できるという。背景に映像が流れることから、俳優が演技に没頭しやすい環境も提供できるとしている。

 同作の大森敬仁プロデューサーは新技術を採用した背景について「キングオージャーの企画が始まったのは、ちょうど1年前くらい。『このファンタジックな世界観はアセット(※デジタル技術で再現する3D物体や空間のこと)で表現してバーチャルプロダクションでやるべき! むしろそれしかあり得ない!』という結論に至った」と説明している。

 最新技術によりハイクオリティーな背景CGが見どころになりそうなキングオージャー。一方、2話の次回予告には東映特撮作品にはおなじみのロケ地、さいたまスーパーアリーナも登場。ユーザーからは「安心感がある」「いつごろから現代日本風の撮影場所ばかりになるかが懸念」など、期待や不安の声が上がっている。今後、キングオージャーで異世界がどのように表現されていくのか、要注目だ。

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