政府の統計システムがOracle Cloudに移行 災害対策など重視
国の統計作成を担う独立行政法人が、各府省庁が持つ統計システムを集約した「政府統計共同利用システム」の基盤をOracle Cloudに移行した。災害対策や可用性の向上を目指したという。
国税調査や消費者物価指数など、国の統計作成を担う独立行政法人・統計センターが、各府省庁が持つ統計システムを集約した「政府統計共同利用システム」の基盤をOracle Cloudに移行した。災害対策や可用性の向上を目指したという。日本オラクルが3月7日に発表した。
政府統計共同利用システムは、政府による統計情報を集約したサイト「e-stat」や、国民が各種統計調査に回答できるサイト「政府統計オンライン調査総合窓口」など15のサブシステム(システムの一部を構成する小規模なシステム)で構成される。これまではオンプレミスで運用しており、2019年からはe-statのうちデータを公開する環境など、一部でOracle Cloudのサービスを活用していた。
旧システムは更改の都合で2022年12月の運用終了が決まっており、可用性や柔軟性の向上を目指し、新システムの基盤にはクラウドの採用を検討。これまでも部分的に活用していたことや、構築支援の実績などを基に、22年6月にOracle Cloudの利用が決まったという。
その後約6カ月かけてシステムを移行。新システムではデータベースサービス「Oracle Exadata Database Service」を採用。さらにセキュリティ監視サービス「Oracle Cloud Guard」やリスク評価が可能な「Oracle Data Safe」を導入して機密性を高めたという。
一部のデータやバックアップをオンプレミスサーバで保管できる体制も整えた。国内にDRサイト(ディザスタリカバリー:災害時などに備えた予備の環境)も設置したという。
関連記事
- au PAY、ポイント基盤を刷新 “脱COBOL”実現【訂正あり】
KDDIが、「au PAY」とポイントサービス「au Ponta ポイントプログラム」のシステム基盤を刷新。Oracle Databaseなどを導入した他、“脱COBOL”も実現し、コードをJavaに切り替えたという。 - 「IEでしか使えないVPN」に困って認証基盤を刷新 システム老朽化に直面したセガサミーHDのAWS移行
セガサミーホールディングスが、協力会社との情報共有システムをAWS移行。旧システムには「IEでしか使えないVPNが必須」などの課題があったが、クラウド化と同時に認証基盤を刷新して解決したという。 - 高校生が学園祭の配信システムをAWSで自作 奈良・西大和学園「技術統括局」の活躍、本人たちに聞いた
学園祭の映像配信システムや、チケット管理システムをAWSで自作した高校生たち。取り組みの一部始終と、学校がGOサインを出した理由を、本人たちに聞いた。 - 始まるガバメントクラウド移行、自治体に求められるセキュリティ対策は
政府やデジタル庁が主導する「ガバメントクラウド」。すでに一部自治体が移行・利用を進めており、今後拡大する見込みだ。一方で、移行に伴う現場の混乱も予想される。特に不安が生まれるのはセキュリティだ。 - オラクルが日本のクラウド市場で抱える課題 Microsoftとのマルチクラウド、なぜ加速
他社クラウドとOracle Cloud Infrastructureの連携を加速する米Oracle。中でもAzureとの連携には注力している。日本市場においては、後発であるOCIの弱点を補う効果も期待しているという。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.