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ARR110億間近のSmartHR、なぜ次は「タレントマネジメント」領域なのか(2/2 ページ)
労務管理SaaSのトッププレイヤー、SmartHRのARRが110億円に達しようとしている。いまだ成長率は50%超と高く、成長は陰りを見せていない。そしてさらに成長加速すべく、労務管理に続き、タレントマネジメントに注力する方針だ
マルチプロダクト戦略
これは労務管理SaaSとして急速な成長を遂げたSmartHRが、マルチプロダクトに本格的にかじを切ったということでもある。そのために、複数プロダクトが参照したり利用できる基盤として、従業員データベース、ID基盤、権限基盤、UIコンポーネントなどを整備してきた。
Web中心だったところに、スマホアプリの開発も始めている。
APIを通じてSmartHRにアクセスできる社外サービスを集めたアプリストアもリリースしており、「安否確認サービス」や「ストレスチェッカー」など現時点で17のアプリを提供中だ。
さらには、外部機能を使ってSmartHRの基本機能を拡張できるプラグイン形式にも対応した。直近の通勤経路検索機能はNAVITIMEのAPIを使ってプラグインとして拡張したものだ。さらに、SaaSが苦手とする“個社カスタマイズ”のニーズにも、プラグインを使えば対応できるのではないかと想定している。
直近でも50%を超えるARR成長率を持つ同社。労働管理SaaS市場も、クラウド化の浸透率は3.1%に過ぎず「まだ広大な市場が残っている」と芹澤氏はみる。そこに成長領域であるタレントマネジメント領域への注力で、同社の成長はまだまだ止まらなそうだ。
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足元のARRでは45億円まで伸張しており、新興市場マザースで上場を行うことが可能な水準であるARR10億円を超えている。ARRの絶対額もさることながら、前年四半期ベースで100%を超える成長を見せている点が驚異的だ。2年以内にARR100億円の大台を突破する可能性が高く、過去の国内SaaS企業にはない圧倒的な成長力だ。
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