ユニコーン企業となったSmartHRは、どれほど規格外なのか?(1/3 ページ)
足元のARRでは45億円まで伸張しており、新興市場マザースで上場を行うことが可能な水準であるARR10億円を超えている。ARRの絶対額もさることながら、前年四半期ベースで100%を超える成長を見せている点が驚異的だ。2年以内にARR100億円の大台を突破する可能性が高く、過去の国内SaaS企業にはない圧倒的な成長力だ。
クラウド人事労務ソフトを提供するSmartHRが6月8日、資金調達シリーズDラウンドに伴う記者会見を開いた。内容はCEOの宮田昇始氏が事業全体に関する説明、CFOの玉木諒氏が財務・資金調達面についての説明、COOの倉橋隆文氏が今後の事業戦略について説明を行っている(記事参照)。
今回の資料の中では、SaaSビジネスの恒常的な収益を現わすARR(Annual Recurring Revenue)やその成長率、顧客規模別の売り上げなど、上場企業のIR並みの開示がなされている。開示義務のない未上場SaaS企業がこれだけの内容を公にすることは異例であり、今までの国内SaaS企業にはない規格外の成長を示す狙いがあると見られる。
この記事ではSaaS企業の分析・データ提供を行う「企業データが使えるノート」のSaaS KPIデータなどを基に、今回の公表内容を振り返っていく。
SmartHRとは?
SmartHRは人事・労務に関する手続きの効率化を目指すクラウド型サービスだ。
業界を問わず、企業の労務部や人事部門が直面する入社手続きから、社会保険の書類作成や申請といった「紙」「ハンコ」「役所」といったアナログで煩雑な手続きをSaaSを通じて解決を図っている。
「HRTechクラウド市場の実態と展望 2020年度」によると、労務管理クラウドサービスでは国内のトップシェアを誇り、登録社数も3万社を超える実績となっている。
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