Amazonの衛星インターネット、24年後半から 最大1Gbps、Starlinkより小さなアンテナも
米Amazonは、衛星インターネットサービス「Project Kuiper」で使用する3種類のアンテナを公開した。Kuiperは2023年末までに衛星の大量生産を開始し、24年前半に最初の量産衛星を打ち上げるという。24年後半には一部ユーザーにサービス提供を予定している。
米Amazonは3月14日(現地時間)、衛星インターネットサービス「Project Kuiper」で使用する3種類のアンテナを発表した。Kuiperは2023年末までに衛星の大量生産を開始し、24年前半に最初の量産衛星を打ち上げるという。24年後半には一部ユーザーにサービス提供を予定している。
Project Kuiperは、地球低軌道上に3236基の衛星を配置することで地球全体をカバーする、同社の低軌道衛星ネットワーク。Arianespace、Blue Origin、United Launch Allianceが保有するロケットで予定している90回以上の打ち上げで、大部分の衛星コンステレーションを構築するという。
Kuiperは、ユーザー向けに3種類のアンテナを用意する。最も小型な7インチタイプは、わずか1ポンド(約453g)で最大100Mbpsの通信を実現。個人だけでなく地上移動やIoTデバイスの接続を考えている企業や政府機関にも提供するという。
標準的なアンテナは11インチタイプで、厚さは1インチ未満。取付ブラケットを除いた重さは5ポンド(約2.27kg)。最大通信速度は400Mbpsをほこる。同社では、このアンテナを400ドル未満で製造する予定という。
最も性能の高いモデルも用意。19×30インチという巨大サイズだが、最大1Gbpsでの接続を実現。多くの帯域幅を必要とする企業、政府、電気通信系向けに設計されているという。
各端末には、「Prometheus」というコードネームで開発されたAmazon独自開発のベースバンドチップを搭載。5Gモデムチップの処理能力、数千というユーザーからのトラフィックを一度に処理するセルラー基地局の機能、強力なP2P接続をサポートするマイクロ波のバックホールアンテナ機能を組み合わせているという。
Prometheusは、Kuiperで使う衛星や地上ゲートウェイアンテナにも使用されており、システムは各衛星で最大1Tbpsのトラフィックを処理できるという。
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