従来の法人カードとは何が違うのか? UPSIDER vs バクラクビジネスカード(後編):SaaS対決(3/3 ページ)
後編では、UPSIDERとバクラクビジネスカードの思想の違いと、それに基づく機能と特徴を概観する
既存金融が対応できないペインを解決
「チャレンジャーバンク」という言葉をご存知だろうか。銀行免許をとって新たに銀行サービスを始める事業者のことを指すが、手続きやサービスを全てスマホアプリ内で完結することができることから、欧州や米国では既存の銀行に不満を持っている多くの若者に支持を得ている。
大量のデータを処理する金融分野はデジタル化が他の分野よりも早かった分だけ、現在でも数十年前の基盤で稼働しているシステムも多く、スマホやAPIなどの対応も遅れていることは間違いない。
今回特集した新しいビジネスカードも、既存のカード会社が解決できなかったペインにしっかりと向き合った上で、新たな機能を提供することで急速に規模を拡大していく構図に、筆者はチャレンジャーバンクと同じものを感じた。
クレジットカードが登場してから65年。加盟店の開拓も進み、クレジットカードがあらゆる場所で使えるのは当たり前になった中で、もう一段上のレイヤーでの競争が始まっている。特に直近で目立っているUPSIDERとバクラクビジネスカードは、純粋な金融サービスというよりも、管理の利便性や連携の容易さといったSaaS的な機能で差別化を図っているため、今回はSaaS対決の中で取り上げることにした。
UPSIDERは、既存の金融機関が無視してきた挑戦者(スタートアップ)に最も寄り添った金融プラットフォームになるべく、まずは徹底的にスタートアップのペインを解決することができるビジネスカードを提供してきた。現在は上場企業のペイン解決を狙っている。今後も企業の決済領域で生じる課題を解決するさまざまなサービスを提供してくれることだろう。
LayerXのバクラクシリーズは、法人の支払管理領域に生じていたアナログで非効率な業務をデジタルによって解決するソリューションを提供している。バクラクビジネスカード単体でも十分に効率化は可能であるが、その真価はバクラクシリーズ全体を連携して活用した時に発揮される。AIなども活用しながら、支払管理に生じるさまざまなペインを解決するサービスに今後も進化していくだろう。
法人の事業運営にクレジットカードが欠かせないからこそ、単なる支払手段だけではなく、管理機能や他のサービスとの連携が求められる。ビジネスカードを選ぶ際には、どうしてもポイント付与などに目がいってしまいがちだが、支払管理が非効率なことで生じているコストはキャッシュバックで得られるメリットを遥かに上回っているはずだ。
いずれのサービスも利用料や発行手数料は無料なものも多いため、支払管理がバックオフィスのボトルネックになっているようであれば、ぜひ導入を検討してもらいたい。
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