「新しいBing×音声認識」で感じた“検索新時代” スマートスピーカーはもう古い:小寺信良のIT大作戦(4/4 ページ)
Microsoftのブラウザ「Edge」にAIを搭載した「新しいBing」が搭載されたことで、ブラウザをEgdeに乗り換える人もそこそこあったのではないだろうか。筆者もAI搭載のBingを使ってみたい一心で、ChromeからEdgeに乗り換えてみたところだ。
AIが「音声アシスタント」を陳腐化する
スマートフォンで「新しいBing」を利用するには、スマホ版のEdgeを使うよりも、「Microsoft Bing 検索」を使ったほうがスマートだ。
「Microsoft Bing 検索」はデフォルトが音声入力となっていることから、音声によるAIチャット検索ができる。簡単なものなら、テキストを入力するより喋った方が断然早い。
これまでわれわれは、Amazon AlexaやGoogle Assistant、Apple Siriのような音声アシスタントの事を、ずっとAIだと思ってきたのではないだろうか。だが従来の音声アシスタントに話かけて得られる回答には、限界がある。筆者は自分が知りたいことと、音声アシスタントが返してくる答えが全くかみ合わないので、最近はほぼ使うのを諦めていた。たまに天気予報を確認したり、タイマーをセットする程度で、逆に言えばそれぐらいしかちゃんと期待した反応が期待できなかった。
しかし「新しいBing」がスマートフォンで使えるようになり、かつ音声認識で検索できるようになったことから、従来の音声アシスタントが一気に陳腐化する事となった。
WBC関連の記事を書く必要があって、宮崎市の中心地である橘通三丁目交差点から、練習場となっている「サンマリンスタジアム」までの距離を調べることにした。「宮崎市橘通三丁目交差点からサンマリンスタジアムまでの距離はどれぐらい?」と各サービスで検索してみた。
Siriはかなり待たされた揚げ句、「問題が起きました。やり直してみてください」として、文章全体の構造が理解できないようだった。どちらかの地名だけでも引っ掛かると思ったのだが、どちらの地名も認識されなかったようだ。
一方Amazon Alexaの場合は、筆者の発音が悪かったのか、宮崎市内にある「サンシャインスタジオ」を見つけてきた。再度検索すると、今度は無事「サンマリンスタジアム」を見つけてきたが、距離は858kmとしている。直線距離にして、だいたい横浜市ぐらいまでの距離である。前半の「宮崎市橘通三丁目交差点」が無視されたのだろうが、なぜ起点を横浜市のあたりに設定したのかが分からない。
これが「新しいBing」では、距離約10kmと回答したほか、バスと電車での所要時間も応えてくれる。距離は道路上を通ると13kmだが、「約10km」はまあまあ正しいといえる。
2点間の距離を訪ねる構文はそれほど複雑なものではないと思うが、従来の音声アシスタントではまったく歯が立たない。おそらく今のBingのレベルが、本来われわれが音声アシスタントに期待していたレベルではないだろうか。
現在執筆のアシスタントとして、AIのさまざまな使い方を試しているところだが、自分に変わって原稿を書いてもらうところには期待していない。こっちは文章を書くのが好きでやっているわけであり、人の好きなことをAIにやらせるのは間違っていると思うからだ。人がめんどくさいと思うことをAIにやってもらうのが正しい。
個人的には、ちょっとした調べものなら音声でBingに聴くのが効率がいいように思う。その間も手が動かせるからだ。ただスマートフォンのBingでは、根拠のURLを調べる作業がスマートフォンに移ってしまうので、そこで効率が落ちる。やはり「PCで音声検索」が一番いいのではないか、というのが今のところの結論だ。
ただこれも現時点での話であり、1週間後にはもう話が違ってくるかもしれない。ChatGPTは次々に新しい実装や利用方法が誕生してきており、誰にとっても正解といえる方法はないのかもしれない。これはコンピューティング全体の体験として、「人がマシンの都合に合わせる時代」の終わりが近いのかもしれない。
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