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親子愛の伝道師「EOS Kiss」30年の歴史 「テキトーに僕らを撮らないで」は何年前?荻窪圭のデジカメレビュープラス(1/6 ページ)

キヤノンから「EOS R50」が発売され、明言はしていないものの業界筋的には「Kissの名が付くカメラはもう出ないだろうな」という感じになっている。EOS Kiss誕生から30年という節目の年でもあるので、ここでちょいとEOS Kissの歴史を振り返ってみたい。

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 2023年3月、キヤノンから「EOS R50」が発売された。レビューでも書いた通り、デザインも機能も従来なら「Kiss」シリーズとして(EOS Kiss Rとか)登場してしかるべきカメラだったが、名称は「EOS R50」となり、Kissの愛称は付かなかったのだ。


キヤノン「EOS R50」

 キヤノンは公式に「Kissはもう終わりだよ」といったりはしないが……実際にKissシリーズのカメラも現行モデルとして残ってるし、そうじゃないにしてもまあよほどのことがない限り、そういうことはいわんでしょう。ただ業界筋的にはKissの名が付くカメラはもう出ないだろうな、という感じなのだ。

 奇しくもEOS Kiss誕生から30年という節目の年でもあるので、ここでちょいとEOS Kissの歴史を振り返ってみたい。

1993年 EOS Kiss誕生

 そもそもの始まりは1990年に誕生した「EOS 1000 QD」だったといっていいと思う。QDは「クォーツデート」の略で、フィルムに日時を焼き付ける機能を指すものだから気にしなくていい。

 EOSシリーズの誕生は19987年の「EOS 650」。それまでのFDマウントを捨て、あらたなEFマウントを採用した新シリーズだった。

 それから3年、エントリー向けに発売されたのが「EOS 1000 QD」だったのである。これがすごかった。


「EOS 1000QD」。「キヤノンカメラミュージアム」サイトより

 エントリー向けでありながら、一眼レフとしての機能はほぼフルスペックを搭載し、しかも小型軽量で超安かったのである。

 その分、マウントがプラスチックだったりするなどコストダウンも図られていたが、初めて買う一眼レフとしては破格の低価格高機能だったのである。

 ちなみに、当時わたしも買いました。

 そして1993年に誕生したのがEOS Kissである。EOS 1000の発展系ともいえるEOS Kissはボディ単体で5万9000円と安く、小さく、そしてボディ単体で370gと非常に軽かった。


初代「EOS Kiss」。「キヤノンカメラミュージアム」サイトより

 Kissが衝撃的だったのはその名称とCM。

 Kissというカメラらしからぬネーミングや「愛を残す一眼レフ」という恥ずかしげもないキャッチコピーもさることながら、優れていたのはTV CMの内容。

 家族写真を撮影する光景がメインで、カメラを構えるのは父親ではなく母親なのである。

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