親子愛の伝道師「EOS Kiss」30年の歴史 「テキトーに僕らを撮らないで」は何年前?:荻窪圭のデジカメレビュープラス(2/6 ページ)
キヤノンから「EOS R50」が発売され、明言はしていないものの業界筋的には「Kissの名が付くカメラはもう出ないだろうな」という感じになっている。EOS Kiss誕生から30年という節目の年でもあるので、ここでちょいとEOS Kissの歴史を振り返ってみたい。
EOS Kissは「初心者向け」じゃなく、「ファミリー向け」の、それも「お母さんが子供を写す一眼レフ」ですというメッセージを発したのである。
子供を一眼レフできれいに残したいという大きなニーズに応えたのだからヒットするわ。そういうコンセプトなら名称はEOS 1000じゃなくてEOS Kissだよなと思う。
かくして小さくて軽くて安くて使いやすいという子供を一眼レフで撮りたいけどカメラは初めて、という人に最強だったのである。
ただ、この製品は日本だけだった。
北米での製品名は「EOS REBEL XS」、欧州やアジアでは「EOS 500」とそれぞれ異なってたのである。
実はEOS 1000でも北米での製品名は「EOS REBEL S」でEOS KissはEOS 1000の後継機という立場でもあったのだ。
その後、EOS Kissは1996年の「New EOS Kiss」(北米名はEOS REBEL G)、1999年の「EOS Kiss III」(北米名はEOS REBEL 2000)と続き、ファミリー層以外が登場するCMも出てきたが、どれもカメラを持っているのは女性が基本(女子高校生だったり旅をする21歳だったり)なのは変わらなかった。
だいたい、一眼レフのCMで「マイファーストキッス」とか「21才で、Kissを覚えた」とかなんなんだよと言ってる間にKissはすっかり定着。
その大ヒットは他社への影響も大きかった、主にネーミングで。
α7000シリーズがヒットしたミノルタは1998年に初心者向けのα-sweet。
ニコンは少し遅れて2001年にファミリー向けの「ニコンU」。
sweetにU(youにかけたネーミング)とカメラらしからぬ甘いネーミングの大元はキヤノンだったのだ。
21世紀になるとカメラの主流はデジタルに移り、フィルム一眼レフのKissは2004年の「EOS Kiss 7」が最後となる。
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